【中小企業経営者の心得】広告宣伝費が毒饅頭的コストである理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、広告宣伝費が毒饅頭的コストである理由について考えます。
今日の論点は下記の2点。
1 古典的な広告宣伝の効果は本当にあるのか?
2 広告宣伝費を冷静にコストとして捉えてみる
どうぞご一読下さい。
1 古典的な広告宣伝の効果は本当にあるのか?
今話題の中古車販売業者のラジオやテレビのCMがなくなってほぼ1週間。
クルマ移動の際、北出はFM802を聞いているのですが、件の会社のCM枠は相当なものだったらしく、折に触れてAC JapanのCMが流れています。
おそらく、他局もテレビも似たようなもので、それほどにまで件の会社が多額の広告宣伝費を湯水のように使っていたことを思い知らされます。
件の中古車販売業者のCMがなくなったことを踏まえて、中小企業にとっての広告宣伝費のあり方について考えてみることにします。
B to Cの小売業や飲食業の場合、例えば、新聞折込チラシを中心とした紙媒体の広告宣伝に一定のコストをかけている会社が少なくありません。
折込チラシ然り、CM広告もそうなのですが、困ったことに、広告宣伝に対する効果測定がなかなか難しいという問題が立ちはだかります。
折込チラシなどにクーポンをつけると、来店したお客様が持参し、会社側が回収したクーポンの数によって、集客効果は推し量ることができます。
しかしながら、5%とか10%OFFといった割引クーポンが付随しているため、確かにお客様は来て頂けるのですが、広告宣伝費をかけて、来店されたお客様に割引をしてしまうわけで、いわば、コストをかけた上に、ディスカウントまでしてしまうという事態が起きてしまいます。
原価高と人手不足による人件費増加に加えて、広告宣伝費が収益圧迫要因になってしまいます。
試算表上では、売上は立つけれど、販管費が高止まって、売上総利益率が低下します。
スーパーでも、卵やバナナを特売品にして他の商品を買ってもらうという狙いでの折込チラシなのでしょうが、折込チラシというのは意外と高くつくものです。
ましてや、テレビやラジオのCMの効果測定は極めて難しいわけで、一説には商品やサービスを購入したお客様がCMを視聴したことによって満足感を得るという調査もあり、目的と手段が逆転してしまう恐ろしい影響さえ懸念されます。
そもそも、テレビやラジオのCMはバカ高いもので、まともな中小企業にとってはとても捻出できるようなコストではありません。
おかげで、広告代理店や制作会社は高笑いの大儲けです。
あえていうならば、ある意味、革新的ではない古典的なビジネスモデル(例えば、中古車販売業などは典型的な古典的なビジネスモデルで、かつ粗利が極めて低い)がバカ高いCMをじゃんじゃん流していれば、どこかで悪さをしていて、真っ当な商売をやっているとは到底思えません。
話はそれましたが、古典的な広告宣伝の効果を的確に推し量ることは極めて困難ですし、多くの中小企業の場合で、コスト倒れになってしまいかねないことが懸念されます。
2 広告宣伝費を冷静にコストとして捉えてみる
そういうことから、北出は、B to Cのお客様の社長に対して、「社長、この広告宣伝費、ほんまに効果、あるんですか? いっそやめてしまって、やめた後の集客推移によってはもう一回、広告宣伝を復活すればいいんと違いますか?」とついついツッコンでしまいます。
ただ、悲しいかな、経営者としては、なかなか広告宣伝を減らす、あるいはゼロにするというのは重たい経営判断となってしまいます。
「もしもお客さんが減ってしまったらどうしよ?」
確かに、従来からのやり方を変えることはリスクが伴います。
しかしながら、経営者の感覚の中で、広告宣伝費は他のコストとは違って、聖域化してしまっているケースに遭遇します。
中小企業にとって、広告宣伝費は一度食ってしまえばなかなかやめられない、いわば、毒饅頭なのです。
今時、古典的な広告宣伝媒体よりも割安なネット広告も活用の余地が十分にあります。
中小企業経営者は、広告宣伝費を聖域化するのではなく、冷静にコストとして捉えてみる必要があるのです。