【中小企業に銀行対策】「経費削減」より「原価低減」が収益改善の近道である理由とは?

今日は、中小企業の収益改善策として、「経費削減」より「原価低減」が収益改善の近道である理由について考えます。

今日の論点は下記の2点。

1 経費削減は既に相当やり尽くしている
2 販管費削減より原価低減を

どうぞご一読下さい。

1 経費削減は既に相当やり尽くしている

お客様の会社の社長と、金融機関にモニタリングで月次訪問する時に、「ナンセンスやなあ・・・」と思うことは、金融機関担当者が「販管費の〇〇が前月よりも増えてますが?」と尋ねる時です。
例えば、損害保険料などは、年払いにしてあったら12ヶ月分経費計上されている(本来、決算整理時に次年度分は前払費用に資産計上しますが、試算表段階では12ヶ月分を計上してしまうケースが多い)場合、そりゃ、その月の損害保険料はドドーンと大きくなります。
そんなナンセンスな質問をする金融機関役職員を見ていると、「コイツ、世の中の商売のこと、全然わかってないなあ」と悲しくなってしまいます。

もちろん、特に、経営改善局面の会社の場合、経費削減はやらねばならないことですが、実際のところ、まともな会社であれば、経費削減は既に相当に実行されています。
役員報酬は可能な限り削減したり、接待ゴルフなど昔々の昔話なので社長の接待交際費もたかだか知れた金額です。
関係団体とのお付き合いも最小限度になっているので、諸会費も以前に比べれば大幅削減済みです。

乾いた雑巾をより一層絞ることを否定しませんが、そこばかりをゴリゴリやってしまうと、会社の中にハレーションが起きて、従業員もモチベーション低下に直結します。
実際問題、より一層の諸経費削減の余地があるかどうか検討してみると、良くて月額数万円にも満たない金額です。
このように、諸経費削減が相当程度実施されている融資先に向かって、金融機関担当者が前月の試算表と比較して販管費を点検するというのは、重ねてナンセンスだと思ってしまいます。

原価のある商売で、収益改善をより実効性のあるものにするためには、販管費よりも製造原価の見直しの方がずっと収益改善効果が見込まれます。
次のチャプターでは、製造原価の見直しについて掘り下げみます。

2 販管費削減より原価低減を

販管費よりも原価低減の方が収益改善効果が大きい理由は、ズバリ、変動費の増減の方が圧倒的に収益に反映するからです。

製造業や建設業のような製造原価のある業種の場合、製造や建設の現場での原材料費、労務費、外注費、現場経費で構成される製造原価は、販管費よりも多額に上ります。
製造原価のほとんどは、変動費なので、変動費の構成を変えると、売上の増減によって製造原価が正比例します。
このため、増収となったら製造原価は同じように増加しますが、減収となれば製造原価も減少します。
原材料単価の見直しによって原材料費は落ちますし、外注業者への依存度を低下させ自社のチームで賄えば外注費のウェイトが下がります。
現場の製造効率を向上させることによって、現場作業員の労働時間が圧縮できれば残業代を削減することができます。

月商40百万円で、製造原価を1%下げられれば、400千円の原価低減効果が出ます。
400千円の月額経費削減は、中小企業にとって、ほとんど不可能な水準です。

このように、もちろん、経費削減をより一層進めることは大切ですが、それよりも何よりも原価低減こそが、中小企業にとっての収益改善のキーポイントです。

中小企業経営者は、インフレによって原材料費や労務費は増えることを想定しながら、日々原価低減策を練り、実行に移しながら、その効果測定を怠ってはならないのです。

【中小企業の銀行対策】総合振込は必ずメインバンクで行わなければならない理由とは?も併せてご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。

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