【中小企業の銀行対策】総資産圧縮のススメとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、総資産の圧縮のススメについて考えてみます。

今日の論点は以下の2点。

1 総資産が増えるとより多くの資金が必要となる
2 総資産を圧縮して資金効率向上経営を目指す

どうぞご一読下さい。

1 総資産が増えるとより多くの資金が必要となる

中小企業といえども、経営者は事業拡大に意欲的な方が数多くいらっしゃいます。
「せっかく経営者になったんやから、おもいっきり事業をやりたい!」と経営者が考えるのは至極健全なことです。
経営者が「今のままでええやんか」と守りに入ってしまったら、その会社に未来はありません。

他方、あれもやりたい、それもやりたい、となると、試算表や決算書上で起きることが「総資産の膨張」です。
「設備投資をやってメーカーからのニーズに応えたい」となって、金融機関から設備資金を借入れて生産設備を増強すれば、有形固定資産が増え、同時に長期借入金も増加します。
売上が伸びてくると、棚卸資産が増えてしまうので、増加運転資金を金融機関から調達する必要性に迫られます。
M&Aで時価よりも少し高めに相手企業を買収すれば、のれん代が繰延資産に残ってしまいます。
本社を自社物件とすることで対外信用の向上効果は見込めますが、土地、建物には固定資産税がついて回ります。
建物は減価償却で簿価を減算していくことができますが、土地に至っては土地取得資金は減価償却もできないため、べたっと寝てしまいます。

このように、経営者が「なんとか事業を拡大したい」となれば、総資産が増えるのと共に、資金需要が高まるのは自然なことなのです。

2 総資産を圧縮して資金効率向上経営を目指す

事業を拡大すると総資産が膨張するのは、致し方がないのですが、コロナ禍や、現在の原材料高、物価高と人手不足といったフェーズでは、本業での利益確保が以前の思惑通りに行かなくなります。

そうなると、「持たざる経営」とは言わないまでも、原材料高、物価高、人手不足が短期的にすぐには収束しないことが予想される中にあっては、中小企業とすると、よりリスクを逓減するための経営方針として、総資産を圧縮することを掲げることも検討すべきです。

因みに、試算表、決算書の貸借対照表(BS)の資産の部は、上から順に「おカネに変わりやすい順番」で並べられています。
おカネに変わりやすい順番に、上から、現預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、その他の流動資産、固定資産、繰延資産の順です。
なので、総資産を圧縮しようとすると、資産の部の下を減らして、上を増やす、下手にいえば、資産の部を逆三角形にするということでもあります。

このように、総資産を圧縮する、より具体的にいえば、資産の部の下を増やさず、上にシフトさせることで、資金効率を向上させることができます。
資金効率を向上できれば、運転資金への資金需要を低減できますし、例えば、リスケジュール状態にあるのであれば、返済原資を捻出することができるはずです。

中小企業経営者の皆さん、もう変な見栄を張るのはやめて、総資産圧縮、資金効率向上をKPIにするコンパクト経営を目指してみませんか。

 

【中小企業の銀行対策】資金余力がなければ事業縮小が難しい理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「次世代に残せる老舗企業の創造」もご覧下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA