【中小企業の銀行対策】些細な不祥事が会社を存続危機に陥れる理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、些細な不祥事が会社を存続危機に陥れる理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 コンプライアンス違反にはニューマネー調達は不可能である
2 ちょっとした不祥事が中小企業を吹き飛ばす
どうぞ、ご一読下さい。
1 コンプライアンス違反にはニューマネー調達は不可能である
最近、自動車メーカーだけではなく、企業の不祥事に関する報道が散見されます。
中でも非常に心配なのが、不祥事の原因が、過失によるものではなく、故意に、かつ長期に渡って行われているケースが見受けられることです。
かつて、長期に渡って不正が行われていた三菱自動車工業と、根っこが同じように見えて仕方がありません。
とはいえ、自動車メーカーや大手企業であれば、手元流動性が潤沢なので(つまりキャッシュリッチであること)、1ヶ月単位の長期の期間、工場の操業が停止したり、製品の出荷が止まってしまっても、会社は資金ショートすることなく存続しています。
これも、政治も含めて、モラルの低下とその場しのぎの風潮がなせる技なのかもしれないと考えてしまいます。
他方、中小企業の場合、コンプライアンス違反は、文字通り「命取り」となります。
不祥事が明るみに出て、製品を自主回収したり、一定期間出荷が止まるようなことになると、まず、入金がなくなります。
入金がなくなるだけではなく、製品を自主回収するための費用の持ち出しが発生します。
非上場の中小企業の場合、不祥事によって資金がショートするかもしれないということになった時に、真っ先にすがるのがメインバンクです。
メインバンクからすれば、思いっきり、後ろ向き資金であるだけではなく、資金ショートの原因がコンプライアンス違反ということになると、原則、ニューマネーを出すことができなくなります。
コンプライアンス違反は、第一義的にニューマネーが調達できなくなることを、中小企業経営者は改めて、認識する必要があります。
2 ちょっとした不祥事が中小企業を吹き飛ばす
コンプライアンス違反の中小企業を待ち受けるのは、ニューマネーの調達難だけではありません。
ニューマネーが出なくなるだけではなく、ビックモーターの例を引くまでもありませんが、既往の資金の回収にメインバンク以下、取引金融機関は躍起になります。
既往資金の回収合戦を取引金融機関が急いでしまうと、並の中小企業では資金ショートが止まりません。
ビッグモーターは、幸いにも手元流動性が潤沢であっただけではなく、比較的短期間で、伊藤忠というホワイトナイトが現れてくれました。
そもそも、コンプライアンス違反で看板に傷がついた会社にホワイトナイトが付くこと自体、奇跡という他ありません。
運よく、資金ショートを回避し、工場の操業や営業再開にまでこぎつけたとしても、すぐに、コンプライアンス違反前に売上高が戻るわけではありません。
特に、一般消費者向けの商材であればあるほど、一般消費者のコンプライアンス違反への目線は厳しいので、経営再建途上で、資金が持たず、息切れてしまう懸念も払拭できません。
コンプライアンス違反の原因は様々ですが、企業文化や社風によるところが多いのではないかと北出は考えています。
中小企業経営者は、一見、無風の会社の日常風景だと軽く受け流すのではなく、末端の従業員にまで面接の場を持ったりすることで、現場に蔓延する目に見えにくい問題を拾い上げるような経営努力が必要となるのです。