【中小企業の銀行対策】銀行対策の基本は「保守的」であるべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、銀行対策の基本は「保守的」であるべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 「オン・ザ・エッジ」は銀行員に嫌われる
2 保守的に見ておいて上振れれば良い
どうぞ、ご一読下さい。
1 「オン・ザ・エッジ」は銀行員に嫌われる
商いをやっていると、どこかのタイミングで、どうしてもリスクを取って、勝負しなければならない局面があるかもしれません。
「一か八か、やってやる!」
確かに、世の中を、業界を、世界を変えてやるという思いでいる経営者はいるはずですし、経営者たる者、そのくらいでなければ務まらないと北出は本音では思っています。
「一か八か」を象徴する英語が、On the Edgeです。
On the Edgeを和訳すると、危険にさらされて、とか、危険と隣り合わせで、とか、そういう意味ですが、片や、銀行員から融資先の社長への思いからすると、「社長、On the
Edgeなんてとんでもない。やめといて下さい」というのが当たり前です。
銀行員はリスクが嫌いです。
当たり前のことですが、ハイリスクこそ、貸倒の危機と隣り合わせです。
多分、スティーブ・ジョブズやビルゲイツはいい意味で、頭がぶっ飛んでいて、間違いなく、いい意味で、On the Edgeなんだと感じてしまいます。
他方、我が国では、経営者が、銀行員、中でもメインバンク担当者に「俺はOn the Edgeやで」という姿勢は本音はともかく、控えるべきです。
On the Edgeの反対語がConservativeです。
Conservativeとは、「保守的」です。
銀行員は、「保守的」が大好物です。
銀行員にとって、理想的な融資先は、ハイリスクではなく、改善を重ねて、今までの延長戦上で、緩やかに成長していく会社の姿です。
また、確かに言えることは、経営者でさえ、我が国では、ほとんどの経営者が、「保守的」であることを望んでいるように感じられます。
経営者の皆さん、「Conservative」か、「On the Edge」か、どちらがお好みでしょうか?
2 保守的に見ておいて上振れれば良い
「Conservative」か、「On the Edge」か、この論争には終わりがないでしょうし、どちらも分があると思われます。
一方で、中小企業の銀行対策を仕事にしている北出からすれば、本音ベースで言わせてもらうと、「保守的」な方が堅いと感じてしまいます。
その理由は、短期間で上場を果たせるようなスーパービジネスモデルでなければ、仮に上場を目指すにしても、ある程度年数を要します。
上場までの非上場期間は、基本的に資金調達は間接金融(銀行等金融機関からの資金調達)に依存せざるを得ないからです。
商いと大きくなってくると、メインバンク一行取引というわけにはいかず、自然にメイン、サブ、サブサブ・・・政府系金融機関と序列がついていきます。
そうなると、On the Edge一辺倒の場合、メインバンク以下、各行の協調体制を維持することが困難になることも予想されます。
それよりは、資金繰り表然り、経営改善計画然り、経営計画然り、保守的に策定しておいて、業績が良ければ、計画よりも上振れたことになって、金融機関はどこも大歓迎です。
詐欺まがいの商いは超短距離走で、走り切ったら、逃げてしまえという発送なので、まともな会社経営とは到底言えません。
一方、会社経営は、マラソンです。
良い時もあれば、苦しい時もある。
そのためにも、大企業ではなく、中小企業経営者であれば、保守的に見ておいて、下振れしないことを重視することが会社経営を安定させることができます。
中小企業経営者は、アントレプレナーシップをいつまでも忘れずにいると共に、できるだけ、conservativeでいることにこだわる必要があるのです。