【中小企業の銀行対策】メインバンクの担当者の立場を踏まえて会社の舵取りをすべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンクの担当者の立場を踏まえて会社の舵取りをすべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 メインバンク担当者が仕事をしやすいような会社にする
2 メインバンク担当者の最大の仕事は稟議書の起票である
どうぞ、ご一読下さい。
1 メインバンク担当者が仕事をしやすいような会社にする
融資を受けている中小企業のメインバンクを始め、取引金融機関の担当者は、人事異動や係替えによって、交代していきます。
以前よりは、人事ローテーションの期間は長期化しているような気配も感じますが、コロナ禍で人事ローテーションが手控えられた反動なのか、ここへ来て、担当者交代のペースが早くなっているような気がします。
支店長等部店長クラスの任期は、平均2年程度で、担当者ベースの場合はもう少し長くて、早くて2年、長くて3年半といってところです。
銀行員といっても普通の人間なので、経営者にとっては付き合いやすい担当者がいれば、「こいつはやりにくいなあ」と苦手意識を払拭できない担当者もいます。
とはいえ、特に、メインバンクの担当者は、取引金融機関の中でほぼ唯一といっていいくらい、大切な応援者なので、間違っても、喧嘩をするようなことがあってはなりませんsん。
メインバンク担当者にとって、「この取引先はやりやすいな」と思える融資先は、一言で言ってしまえば、「融資先のことがよくわかっている」ことです。
資金繰り表や試算表を提出して、業況報告をする「モニタリング」を定期的に行ってくれる融資先ですと、融資先のちょっとして強みや、あるいは弱みを共有することができます。
中小企業経営者にとって重要なことは、特に、メインバンク担当者に積極的に情報開示(ディスクローズ)をして、自社のことをよりよくわかってもらえるよう、常日頃から努力を惜しんではならないのです。
2 メインバンク担当者の最大の仕事は稟議書の起票である
メインバンクの担当者の側に話を移します。
メインバンク担当者は、単に、できたばかりの決算書を預かったり、試算表や資金繰り表を徴求することばかりが仕事ではありません。
メインバンク担当者にとって、融資先との仕事として、最も大きく、重要なものが「稟議書の起票(作成)」です。
稟議書の起票は、ニューマネーの取り組み時だけではなく、当貸や手貸の極度(枠)の更新時のような定期的なものもあります。
メインバンク担当者が稟議書を起票する時、最も困るケースが「融資先のことがよくわかっていない」場合です。
逆に、融資先である中小企業の側から、月次や定期的にモニタリング(業況報告)の対応をしてもらっていれば、資金需要の根本的な理由もわかりますし、もっといえば、経営者の人柄も理解できているので、稟議書を起票しやすいのです。
稟議書の起票前、店内協議(支店等の営業店でニューマネーへの対応を決めること、最終的には支店長等部店長が方針を決める)で、担当者に支店長等部店長から「おい、お前、この先、ほんまに大丈夫なんか?」と詰められても、モニタリングを定期的に行なっていれば、担当者が部店長からの質問にも答えやすいのです。
相手の立場に立って、物事を進めることは、何も金融機関相手に限ったことではありません。
相手の立場に立って、物事を進めることを日常的に実践していれば、社内外共に、コミュニケーションが深まって、トラブル防止にもつながります。
中小企業経営者は、メインバンク担当者の最大の仕事が稟議書の起票であることを認識して、定期的なモニタリングを実践する必要があるのです。