【中小企業の銀行対策】取引金融機関へのモニタリング(業況報告)を定期的に行うべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関へのモニタリング(業況報告)を定期的に行うべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 モニタリングは取引金融機関から歓迎される
2 モニタリングが取引金融機関との信頼関係を構築する近道である
どうぞ、ご一読下さい。
1 モニタリングは取引金融機関から歓迎される
非上場中小企業にとって、金融機関は資金調達には欠かせない存在です。
「今時、クラウドファンディングがあるし、金融機関にいちいち頭を下げる必要はないよ」という経営者がいるかもしれませんが、いくら注目度の高いクラウドファンディングであっても、クラウドファンディングで調達できる金額はせいぜい数百万円です。
小規模事業者であれば、そのくらいの金額でも運転資金で間に合ったりするのかもしれませんが、中小企業で、運転資金にせよ、設備資金によせ、一千万円単位の資金調達ということになれば、現実的には金融機関からの資金調達が現実的です。
弊所では、お客様の中小企業に対して、月次の取引金融機関へのモニタリング(業況報告)を積極的に推進しています。
「社長、毎月、銀行に業況報告に行きましょう」とお声がけをすると、少なからぬ中小企業経営者が、「毎月は行かなくてもええんと違うか?」と最初は抵抗感を示されることがあります。
ともすれば、金融機関は、中小企業経営者にとって若干敷居が高いように思われるのかもしれませんが、別に喧嘩をするわけではありませんので、正々堂々と金融機関を訪問すべきです。
北出が「社長、騙されたと思って、行きましょう。北出が同行します。試算表と資金繰り表を持参して、時間は一行当たり精々30分程度、3行で移動時間を含めても半日もあれば十分ですから」と申し上げると、真面目な経営者は「北出がそこまで言うならしゃあないな」と仰って、最初は渋々モニタリングを開始します。
実際、「会社の今後のことも考えて、金融機関さんと信頼関係を築いていきたいので、毎月、モニタリングでお邪魔させて頂きたいのですが。もちろん、他行さんも同様です」と金融機関担当者に申し上げると、金融機関担当者はおしなべて「それは当行としても助かります。ぜひお願いします」となって、金融機関は大歓迎です。
万が一にも、「時間もかかりますので、モニタリングをして頂く必要はありません」と言う金融機関担当者がいれば、さっさと他行に融資を全額肩代わりしてもらって、まともな金融機関との取引を拡大すべきです。
実際のモニタリングでは、試算表と資金繰り表を材料にして、前月の業況実績と、足元の業況の状態、数ヶ月先の業況見込みについてお話を進めます。
モニタリングを始めてみた経営者の反応は、「モニタリング、やってみて良かった」とむしろ安心感が感じられます。
金融機関の行政庁は、金融機関に対して、融資先の敵的なモニタリングの実施を推奨していますが、実際、モニタリングが定期的に実施されているケースはむしろレアなようです。
金融機関は、今も昔も変わりなく、行政庁からの行政指導は絶対的なので、金融機関から融資を受けている中小企業経営者は、行政庁が求められているを忠実に実施するのが王道です。
このように、月次モニタリングは金融機関に歓迎されるものなので、中小企業経営者がモニタリングをやらない理由は皆無なのです。
2 モニタリングが取引金融機関との信頼関係を構築する近道である
このように、中小企業経営者が、自ら率先して、取引金融機関にモニタリングを行うことは極めて有効です。
別におカネがかかるわけではありません。
精々、金融機関へ出向く際のクルマのガソリン代位で、立派な必要経費です。
実際に、モニタリングを始めて、半年経ち、1年が経過すると、経営者と金融機関担当者との間で、個人的な友好関係が醸成されてきます。
会社の状況を金融機関担当者がつぶさに把握をして、資金が必要な場合には、数ヶ月前から余裕を持って、資金の要請をすることができます。
金融機関担当者は、人事異動で変わっていきますが、毎月モニタリングを実施している会社で、経営者の人柄もいい意味で、旧担当者から新担当者に引き継がれます。
担当者の人事異動の際には、悪い情報は必ず引き継がれますが、毎月モニタリングを実施している融資先はそうそう多くないので、ポジティブに引き継ぎがなされることが期待されます。
もちろん、担当者が変わっても、モニタリングはそのまま継続します。
モニタリングを続けていると、ポジティブな情報ばかりではなく、時には、ネガティブな要素も金融機関担当者に伝えることになりますが、百戦百勝の中小企業などあるわけないので、基本的に、ポジティブな情報もネガティブな要素も金融機関担当者と共有します。
このように、モニタリングが取引金融機関との信頼関係を構築する近道であることは間違いありません。
中小企業経営者は、月も明けたことですし、今月から早速、金融機関へのモニタリングを開始してはいかがでしょう。