【中小企業の銀行対策】ネガティブ情報を先出する効果とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、ネガティブ情報を先出する効果について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 悪い材料は先に出す
2 悪い材料の改善策と良化する見込みを明確化する
どうぞ、ご一読下さい。
1 悪い材料は先に出す
中小企業を巡る外部環境は決して楽観できる状況にはありません。
ようやくデフレから脱したと思えば、企業間物価の継続的な上昇と、人手不足が中小企業の脅威となっています。
弊所では、お客様の中小企業経営者に対して、原則として、金融機関への月次モニタリング(業況報告)を行うようにしています。
モニタリングを月次で行っていると、金融機関担当者との信頼関係を構築できることを強く実感していますが、毎月のモニタリングとなれば、決して好材料ばかりではなく、悪い材料も往々にして発生します。
当然ながら、百戦百勝の中小企業などはありませんし、プロ野球の好打者であっても、打率はせいぜい3割程度ですから、7割は凡退ですから、大会社ではない中小企業に悪い材料が出ても、何も不思議ではありません。
例えば、試算表で言えば、月次で利益が出る場合もあれば、季節変動要因などで赤字に転落することもあります。
資金繰り表上でも、月末資金有高が増える月もあれば、減少する月もあります。
結局のところ、12ヶ月トータルで、しっかりと利益を出せて、キャッシュフローもしっかり創出することができれば、問題はないと考えています。
中小企業経営者も、月次の会社の成績に一喜一憂する必要はないのです。
ただし、ネガティブな材料(悪い材料)が出た場合には、基本的に、モニタリング時には一番最初に「先月は営業損益でマイナスでした」とネガティブ材料を先出しするようにしています。
後になってから、「これておかしいんと違いますか?」とか、「これてホンマに大丈夫ですか?」とか、金融機関担当者から、指摘をされるようなことがあると、気まずくなりますし、ネガティブ材料を隠そうとしたのではないかと勘繰られることがあってはなりません。
試算表や資金繰り表を見て、一目瞭然でわかるようなネガティブ要因は、先出しして、その後にポジティブ材料を出す方が誰がどう見ても、心象は良いのです。
2 悪い材料の改善策と良化する見込みを明確化する
とはいえ、ネガティブ材料を先出するだけでは、「なんや、ネガティブ材料の改善はないんかい」となってしまいます。
ネガティブ材料を放置すること自体、収益圧迫要因となり得えます。
ここで、大切なことは、ネガティブ材料に対する改善策や良化する見込みについて明確にする必要があります。
例えば、飲食業であれば、営業日数が少なく、目立ったイベントもなく、寒い最中の2月実績は年間でボトムの成績なので、2月実績の試算表は営業赤字となってしまうがちなので、3月のモニタリングは経営者にとっては気の重たいタイミングです。
しかしながら、「3月に入ってからは、既に、歓送迎会の予約が断続的に入ってきていて、3月度の売上見込みは、前年同月実績を上回る推移で、収支についても期初からの累計がプラスに転じる見込みです」というような業績が良化するような見通しを補足することが極めて重要です。
モニタリングでは、ネガティブ材料もポジティブ材料もどんどん出していくことで、ディスクローズの望ましい姿を実現することができますし、金融機関担当者と阿吽の呼吸での打ち合わせが可能となります。
中小企業経営者は、非上場中小企業にとって金融機関が最大の資金調達源であることを肝に銘じて、取引金融機関に対して、積極的なディスクローズを行っていくことが必要なのです。