【中小企業の銀行対策】変動型住宅ローンの利上げと中小企業との相関関係とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、変動型住宅ローンの利上げと中小企業の相関関係について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 住宅ローン金利の情報は中小企業経営に大きな影響を与える
2 利上げ局面の中小企業に必要なことは儲ける力を強化することである
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 住宅ローン金利の情報は中小企業経営に大きな影響を与える
昨日は、当ブログにて、「中小企業の銀行対策として、政策金利の引き上げが中小企業にもたらすインパクト」について掘り下げました。
そこでは、メガバンク以下、地方銀行が中小企業向け融資の大半で、基準金利としている短期プライムレートが引き上げられることが予想される中、中小企業にどのようなインパクトがあるか、中小企業経営への直接的な影響を検証してみました。
一方、テレビなどの報道や情報番組で、政策金利が引き上げられることによる影響の一つとして、住宅金利が引き上げられることが取り上げられています。
一見すると、中小企業経営者からすれば、「どうせ、一般の普通の給与所得者で住宅ローンを借りている人に関することやろ」と片付けてしまって、「うちの会社には関係ないし」と考えがちです。
ところが、住宅ローン金利の引き上げによる影響は、中小企業の経営にジワジワ影を落とすことはあまり知られていません。
今日は、変動型住宅ローンの引き上げと中小企業との相関関係について考えてみることにします。
まず、住宅ローンに関して言えば、民間金融機関の住宅ローンのほとんどが、固定金利型ではなく、変動型を選択していることです。
確かに、見た目のローン金利は、圧倒的に変動型の方が安く、10年固定選択型と比較すると、総支払額の差は数百万円に及ぶことも珍しくありません。
住宅ローン債務者の多くが、30代を中心とした若年層なので、子育てへの負担も相まって、どうしても、見た目に総支払額の少ない変動金利型を選択してしまいがちです。
さらに言えば、このような金利上昇局面では、金融機関は、常に金利変動リスクを負ってしまいますが、変動金利型を住宅ローン債務者が選択することによって、金融機関は、金利変動リスクの多くをヘッジしたり、回避することができます。
端的に言えば、住宅ローン債務者に変動型を選択させればさせるほど、金融機関は金利変動リスクを被らなくても済むようになります。
ぶっちゃけて言えば、金融機関からすれば、政策金利と短プラが上がろうが下がろうが、「知ったこっちゃない」というのが本音なのです。
ここまでお話しする限りでは、中小企業経営者自身が住宅ローン債務者でない限り、住宅ローン金利の変動は、中小企業経営に直接的な影響はないように見えてしまいますが、そう簡単には済みません。
ここからはもう少しシビアな話をしていきます。
一般的な給与所得者であり、かつ中小企業で働いている従業員にとってみれば、住宅ローンを背負って購入するマイホームは、人生最大の買い物です。
多少、業務量が多かったり、ストレスを多少なりとも感じていたとしても、従業員はマイホームに帰宅して家族団欒の時間を持つことができれば、それはそれはハッピーなお話しです。
つまり、少々大袈裟に言ってしまえば、中小企業従業員にとっては、マイホームは心の拠り所です。
なにがあっても、「家だけは守りたい」。
そう考えている中小企業従業員は相当数いるはずです。
そんな中、政策金利の引き上げの影響を受けて、変動金利で組んだ住宅ローンの月々の返済額が数千円、下手をすると数万円アップすることにもなりかねません。
子供の塾や習い事にかかる費用はそう簡単には削減できないので、中小企業従業員のお小遣いは、いの一番にカットされてしまいます。
それでも、子供の成長に併せて教育にかかる費用は膨らんでいくため、いつしか、家計は火の車となっても不思議ではありません。
こんな中、中小企業従業員は、新聞やテレビの報道で耳にする「賃上げ」に大きな期待を寄せることになります。
そもそも、住宅ローンは、昭和型の終身雇用と緩やかながらも続いていく賃上げを前提に開発された金融商品です。
しかしながら、終身雇用が有名無実化し、成果型賃金制度へ移行したことによって、安定的に賞与を支給される保証は今時何もありません。
思うような賞与が出ず、賃上げもままならないとならば、優秀な人材はより高いペイを得られるところに転職していきます。
それでは、優秀な人材を囲い込むことができませなん。
ましてや、月額返済とは別にボーナス返済を設定していれば、ボーナス返済をクリアしないと、翌月以降の月額返済に進むことができません。
賞与の減額やカットは、住宅ローンの延滞に直結します。
ボーナス返済分が延滞し、3ヶ月、4ヶ月経過してくると、金融機関の債権回収部門から任意売却を勧める声がかかり始めます。
とはいえ、住宅ローンの返済は、元利均等方式なので、返済当初は、返済額の大半を利息が占めるため、思うほど元本が減りません。
こうなると、任意売却に漕ぎ着けても、住宅ローンの残債が残ってしまいます。
これでは、ほぼ家計は破綻状態に陥ってしまいます。
このように、変動型住宅ローンの金利引き上げは、中小企業経営者に対して、従業員が金利引き上げ幅を上回る賃上げを求めてくることになります。
中東情勢の流動化と円安の常態化によって、原価高となっている中、持続的な賃上げを継続していくことは至難の業と言え、中小企業経営に大きな影響を与えることになるのです。

2 利上げ局面の中小企業に必要なことは儲ける力を強化することである
昨日、日銀が決定した政策金利の水準は年率1.000%で、実に、31年前の水準となるのだそうです。
31年前といえば、わたくし北出は、社会人ひよっこで、遊び回っていた記憶がありますが、事実上バブル経済崩壊の中にあっても、多くの人々が「いやいや、まだまだイケる」と楽観視していた時代でした。
その後、金融機関が相次いで破綻して、日本経済は危機的な状況に陥りましたが、失われた30年間はあまりにも重く、経営者も働く従業員も、「金利のある世界」に順応できないのは当然といえば当然です。
しかしながら、デフレ、ゼロ金利、マイナス金利時代は終焉を迎えて、金利上昇局面という新たな局面に突入したことは間違いありません。
このため、経営者も、働く側も、この際リセットして、「稼ぐ」ことに改めてこだわっていくことがどうしても必要です。
経営者は、原価高にあっても、賃上げを実現しながら、トップラインを引き上げ、自社の稼ぐ力を研ぎ澄ませていかなければなりません。
働く側も、ぶら下がることはもうやめて、自らがしっかりと会社の中で責任を全うし、それを上回る役割をしっかりと果たしていくことが必要です。
金利引き上げ局面を迎えて、経営者も働く側も、この際、一切の甘えを排除して、しっかりと稼げる会社を創造していく必要があるのです。

