【中小企業の銀行対策】政策金利の引き上げが中小企業にもたらすインパクトとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、日本銀行による政策金利の引き上げが中小企業にもたらすインパクトについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 政策金利引き上げは短プラ上昇に直結する
2 地方銀行の中小企業向けの大半が短プラ連動である
中小企業経営者の皆様、どうぞ、ご一読下さい。
1 政策金利引き上げは短プラ上昇に直結する
本日、6月16日、我が国の中央銀行である日本銀行は、政策金利を0.75%から1.00%への引き上げを決定しました。
ニュースや報道番組では、政策金利引き上げの目的を物価抑制として報道していますが、その影響として、住宅ローン金利の上昇や景気の原則などを報じていて、報道の責任者が経済学に疎いのか、イマイチ、報道内容に踏み込んだものが感じられません。
これでは、一般の消費者に具体的などのような影響があるのか、ピンと来ないというのがホンネのところではないかと北出は勝手に考えています。
中東情勢が未だ流動的な状況にある中、本来は政府や財務省、日本銀行は物価抑制への具体策を打つべきなのでしょうが、金利の上昇幅が大きくなると、多額の発行済みの日本国債(JGB)の利回りが高くなり、即ち、JGBの流通価格が下落してしまう恐れがあります。
たださえ、日本国債を発行しまくってきた日本政府としては、JGBの流通価格の下落はなんとしても避けなければならないので、市場の予想を上回るようなドラスティックな政策金利引き上げには、日本銀行は踏み切れないというのが本当のところです。
これ以上の政策評価は、凄腕の経済アナリストにお任せすることにして、政策金利の引き上げによって、中小企業にどのような影響が出るのか、北出はそちらにフォーカスをしていきたいと考えています。
政策金利の引き上げに直結するのが、メガバンクや地方銀行の短期プライムレート(短プラ)の上昇です。
特に、地方銀行の場合、一部の優良先にはTIBOR等市場金利連動型の融資を行なっていますが、大半の中小企業向け融資は、短期プライムレートに連動しています。
相次ぐ短期プライムレートの引き上げによって、多くの中小企業経営者が短プラの動向に木を配るようになっているはずですが、本日の政策金利引き上げ決定を受けて、まずは3メガバンクが先頭を切って短プラ引き上げを発表して、地方銀行が追随していくことになります。
短期プライムレートと一言で言ってしまえばそれまでなのですが、実は、銀行によって短期プライムレートは意外にも差があるのです。
例えば、3メガバンク(三菱UFJ、三井住友及びみずほ)の現行の短プラは年率2.125%で横並びですが、関西で言えば、京銀、滋賀、南都は3行共に年率2.825%、紀陽で年率2.950%、同じりそなグループの中であっても、りそな2.375%、神戸地場のみなと2.450%、関西みらいに至っては3.150%となっていてばらつきが見られます。
基本的に、地方銀行の短プラは、預金の調達コストで決められることが多く、例えば、リテール(個人向け)業務が強ければ固定性預金のウェイトが高く、調達コストが高くなることから、短プラも高めの設定になってしまいます。
一方、比較的規模の大きな企業向け融資のウェイトが高ければ、当座預金等流動性預金が資金調達のメインになるため、資金調達は、想定的に低コストとなり、短プラも低い水準で設定されることになります。
このように、短プラは金融機関によって少なからぬ差が出てしまうのです。

2 地方銀行の中小企業向けの大半が短プラ連動である
思えば、中小企業経営者は、バブル経済崩壊以降、低金利、ゼロ金利、マイナス金利を当たり前として商いをしてきました。
しかしながら、「金利のある世界」を取り戻すべく、今までの異常とも言えるゼロ金利、マイナス金利を克服しようと、政策金利が引き上げられ、短プラ引き上げ第一弾が2024年の秋のことで、この時の短プラ引き上げ幅は年率0.150%でした。
大半の銀行員も金利の引き上げ交渉を行なった経験もなかったため、短プラ引き上げは金融機関も債務者中小企業もおっかなびっくりでした。
その後2025年3月に0.250%、2026年2月に0,250%短プラが引き上げられました。
本日の政策金利の引き上げを受けて、早ければ、7月中、遅くとも8月には、メガバンクも地方銀行も短プラを0.250%引き上げることが必至です。
この夏以降、2024年秋からの通算の短プラ引き上げ幅は0.950%に達します。
年率0.950%のレートアップとなれば、借入金平残が1億円の場合で、支払利息の増加額は実に950千円に達します。
非正規従業員一人分の人件費に相当する金額で、問答無用で、営業外費用の支払利息が増えることになります。
さらに、政策金利の引き上げは今後も頃合いを図る形で、断続的に実施されていくことが予想されるため、薄利の中小企業の場合、支払利息の増加分で営業利益が吹っ飛びかねないというのが目先の厳しい状況なのです。
中小企業経営者は、まずは、自社の取引金融機関の短期プライムレートを把握して、短期プライムレートの上乗せ幅を正確に知る必要があります。
加えて、更なる利上げに備えて、本業での収益改善をこれまで以上に急ぎ、迫り来る金利引き上げに備える必要があるのです。


