【中小企業の銀行対策】在庫増がキャッシュを減らす原因とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、在庫増がキャッシュを減らす原因について考えます。

今日の論点は下記の2点。

1 在庫管理を適正にする
2 過剰在庫は百害あって一利なし

どうぞご一読下さい。

1 在庫管理を適正にする

在庫管理は、大企業でも中小企業でも、悩ましい経営課題です。
現場は在庫を多く持ちたがりますが、経営者は、「在庫を減らせ!」と檄を飛ばします。
他方、在庫が少なすぎると欠品が生じてお客様のニーズにタイムリーに対応することができません。
在庫管理は、どこの企業にとってもいわば永遠の課題です。

ところで、売上原価の原材料費はどのように算出されるでしょうか?
これは簡単な数式で、
(「原材料費」=『前期末時点棚卸残高」+「当期仕入高」ー「期末末時点棚卸残高」)
で算出されます。
つまり、「期末棚卸高」が増えると、「原材料費」は少なくなり、利益を押し上げる要因となります。

したがって、決算整理の際に、「このままでは赤字になってしまう」という時に、「そうか! 期末の在庫を増やしとけばええんや」
このように、期末時点棚卸高を嵩上げすることは、最も原始的な粉飾決算のやり方の一つです。
では、期末時点棚卸残高を嵩上げすることによる弊害はどのようなものでしょうか?
次のチャプターで考えてみます。

2 過剰在庫は百害あって一利なし

期末時点棚卸残高を嵩上げすることによる弊害はどのようなものでしょうか?

簡単なモデルにしたいので、卸売業を想定して考えてみます。
在庫は、営業がお客様から受注をとってきて、お客様に納品書と共に納品されます。
同時に売上計上され、BS上では売掛金が計上されます。
営業がお客様から手形を集金してきて、BS上では、売掛金から受取手形に仕訳されます。
受取手形は、手形期日が到来すると、不渡にならない限り、晴れて当座預金や普通預金で支払資金となります。

もしも、期末時点棚卸残高が嵩上げされていたら、いつまで経っても、売掛金にも、受取手形にも振り替わりません。
当たり前ですが、未来永劫、支払資金になりません。
このように、期末時点棚卸残高を嵩上げしても待てど暮らせど、未来永劫、キャッシュは増えません。
これが、期末時点棚卸残高の嵩上げによる粉飾決算の最大の弊害です。

粉飾でないにせよ、過剰在庫を抱えてしまうと、預金の支払資金になるまでより多くの日数を要してしまいます。
過剰在庫はキャッシュフローを痛めてしまいます。
過剰在庫を抱えたままだと、いくら運転資金があっても足りません。
過剰在庫は、過剰債務の要因でもあります。
過剰在庫は、資金繰りの最大の圧迫要因となります。

このように、過剰在庫は資金繰りの観点から、百害あって一利ありません。
期末時点棚卸資産の嵩上げは論外ですが、資金繰りをより良くするためにも、過剰在庫を抱えることなく、在庫を適正水準に保ち続ける必要があるのです。

 

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資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。

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