【中小企業の親族承継】早めに、計画的に、会社が儲かっている時に

1 中小企業経営者は着実に高齢化している

わが国で高齢化の進行がいわれて久しくなります。
平均寿命が伸びて、元気なシニアが増えていることは好ましいことですが、高齢化に関していえば、国が発表している人口ピラミッドよりも、中小企業経営者人口ピラミッドの方が高齢化の進行が著しいというのが一般的です。

バブル経済真っ只中の1987年、今から35年前に30歳で創業したオーナー社長は、今や65歳。
バブル経済、バブル崩壊、失われた30年の中、35年間突っ走ってきたオーナー社長は、まだまだ現役で、陣頭指揮で元気一杯です。
「まだまだ若いし、まだまだやれる」とオーナー社長は自信満々ですが、知らず知らずの内に、無理が効かなくなってきているのも正直なところ。
同業他社での修行の後、家業である会社に入社した2代目候補も営業部長の肩書きを持ちながら、早30歳過ぎ。
心のどこかで、「そろそろ、息子に事業を渡さねば」と思いながらも、「息子には、社長業はまだまだ荷が重い」と日々多忙の中、ついつい先延ばしになってしまいがちなのが、中小企業の親族への事業承継です。
高齢化の波は、中小企業の親族への事業承継を現実化させると同時に、難しさもはらんでいます。
さて、中小企業の親族承継はどのようなプロセスを踏むのが理想的なのでしょうか?

2 親族への事業承継へのタイミングは「会社が儲かっている時」

中小企業の親族への事業承継に関して北出の経験則からいえば、多くのケースで営業面でのバトンタッチは比較的スムースに行われているようです。
業歴35年の会社であれば、取引先の取引歴も長く、30歳過ぎの2代目候補が営業に来たとなれば、普通の平社員が来るのとは訳が違うので、取引先からの高感度も高まります。
まだ30歳過ぎならば、「まだまだ駆け出しで、教えて頂くことばかりです。どうぞよろしくお願いします」とばかり、少々下手に出れば、取引先の偉いさんも悪い気はしません。

他方、連帯保証人の問題やら、担保物件の問題やらで、銀行取引に関しては、事業承継後、先代が代表権を持ったまま代表取締役会長に退いた後でも、先代が引き続き実権を握るケースが多いように見受けられます。
銀行取引だけではなく、創業当初以来の少数株主が存在したり、第三者の連帯保証人がいたり、独特の商慣習が温存されていたりすると、さすがの2代目さんも事業承継に二の足を踏んでしまいかねません。
下手をすると、取引先の社長同士で、連帯保証人のハンコを相互に捺したりしている場合は、余計ややこしくなります。
親族だけではなく、第三者を含めた事業承継に際しては、長らく温存されてきた経営課題を確実に解消しておくことが現世代経営者の責務です。
事業承継だけではありませんが、臭いものにはフタ、問題の先送りは絶対に許されません。
ずるずる先送りすると、知らぬ間に、創業者が70歳を迎え、75歳になってしまいます。
中小企業の親族への事業承継の最悪のパターンは、事業承継のタイミングが創業者が亡くなったタイミングとなることです。
それだけは、創業者として絶対に避けなければなりません。

事業承継の理想的なタイミングとしては、ずばり「会社が儲かっている時」です。
厳密にいうと
・会社が儲かっていて(PLでしっかり利益が出ていること)
・財務が安定している(BSの健全性が確保されていること)
が必須条件となります。
この際なので、会社と個人を厳密に分別して、経営者保証ガイドラインに基づいて、連帯保証を外すことをセットで取り組むべきです。

このような状況に会社を持っていくためにも、事業承継はおいそれとできるものではありません。
最低でも、3年から5年、場合によってはそれ以上の期間をかけて、年度毎に計画的に取り組んでいくことを明確化し、上記2条件を最低でも実現する必要があります。

万全を期して事業承継を実現できれば、代表取締役会長に退いた創業者は、毎日出社から週3日、週1日、月に2度と出社回数を減らしていくことができるはずです。
しかし、ここぞの時、2代目さんがどうしても創業者にお伺いを立てたい時には、大所高所の立場から、適切な助言を行い、会社をより良い方向に導いていくことが必要になるでしょう。

事業承継は一夜にしてならず。
中小企業の親族への事業承継は、早めに、計画的に、会社が儲かっている時に、がセオリーなのです。

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