【中小企業経営者の心得】過度な外注依存がもたらすリスクとは?

今日は、中小企業経営者の心得として、過度な外注依存度がもたらすリスクについて考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 外注費が変動費というのは幻想か?
2 自社への帰属意識が低い外注業者との理想的な付き合い方

どうぞ、ご一読下さい。

1 外注費が変動費というのは幻想か?

なるべく固定費を少なくして、あらゆるコストを売上と連動する変動費にしたいと考える中小企業経営者は少なくありません。

特に、外注費は、自社では捌き切れないような大口受注を受注したり、繁忙期にサポートしてもらったりすることで、外注業者は、中小企業にとっては貴重な戦力です。
もちろん、外注費の位置付けは、業種、業態によって異なります。

例えば、総合建設業(ゼネコン)の場合は、自社で現場監督を出すのが精々で、工事の工程毎に外注業者に現場に入ってもらって、自社の協力会が結成されるケースが多いため、総合建設業にとっては、外注業者は必要不可欠で、また身近な存在でもあります。
製造業にとっても、構内請負や、社内外注、内職など、外注業者との取引は比較的多様で、元請と外注業者は切っても切れない関係です。

他方、アウトソーシングという耳障りの良い言葉で、内製化していた業務を外注化する流れも依然として強く、元請が上で、外注業者が下、という暗黙の主従関係があることも見逃せません。

外注業者の方も、一方的に「忙しいから今月と来月、現場に入ってね」と言われるだけでは、商いになりません。
外注業者の本音とすると、「なんや、忙しい時にだけ手伝えて言うてきて。うちだって従業員もおるんやから」となってしまって、定期的に、途切れず仕事を出してもらえる元請に外注業者が寄っていきます。

さらに、人手不足が深刻なのは、元請も外注も事情は似たり寄ったりです。
元請が忙しいからといって、外注業者が人手を確保してくれる保証は全くありません。

結局のところ、力のある元請業者が、外注業者に途切れないように仕事を出さなければならなくなっているのが今の人手不足の現実なので、外注費は、必要な分だけの変動費というのは、もはや幻想なのかもしれません。

2 自社への帰属意識が低い外注業者との理想的な付き合い方

とはいえ、全ての従業員を完全に内製化して、直接雇用にするというのは、中小企業にとって、社会保険料の負担等も勘案すると、なかなかハードルが高いお話です。

このクリスマス前の週末に気になるニュースが報じられました。
高島屋がオンラインで受注したクリスマスケーキが配達された際に、崩れていて、そのようなケースが数百件に上ることが大きくテレビで報道されました。
「なぜ、高島屋で」、「高島屋ブランドなのに・・・」
多くの人々がそのような疑問を感じたかもしれません。

しかしながら、冷静に考えると、高島屋の正社員が、そのケーキを製造した訳でもなく、ましてや、お客様のご自宅に直接配達した訳では決してありません。
高島屋を元請、洋菓子メーカーが下請け、配送業者が孫請け、もしかすると、お客様のご自宅に届けた配送員は、孫孫受けの今流行のフリーランスの配達員かもしれません。

高島屋のバイヤーの目が直接行き届いていたのは精々、一次下請けの洋菓子メーカーで、配送業者までどこの業者が請け負っているかを把握していたのか、甚だ疑問が残ります。

配送業者からしてみても、直接高島屋から仕事をもらっている訳ではないので、どうしても仕事が粗くなってしまっても不思議ではありません。
このような上意下達型の元請と下請け以下の業者との関係は、双方に帰属意識が乏しくなってしまっています。

高島屋をネタにするつもりは毛頭ありませんが、上位からの「仕事を出してやる」、「お前らの代わりはいくらでもいる」、下位からの「仕事を頂いている、ありがたやありがたや」というような上意下達型の仕事のやり方は昭和型で、令和の時代にはそぐわないことは明らかです。

年が明けて、来年4月からは、運送業の2024年問題への対応がどの業界でも大きな課題となることは避けられません。
下請け業者や孫請業者をコストとしてだけ捉えていると、中小企業は足元を掬われます。

業種、業態を問わず、中小企業経営者は、元請だろうが、下請けだろうが、どちらかが上位で、そのもう片方が下位で、といった古い考え方から脱して、直接雇用の正社員も、外注業者の従業員にも、人間としての丁寧な対応が必要なのです。

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