【中小企業の銀行対策】自社の銀行担当者の優秀度を測るバロメーターとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、自社の銀行担当者の優秀度を測るバロメーターについて考えています。
今日の論点は、以下の2点。
1 銀行員の力量は千差万別である
2 ビジネスモデルを俯瞰できる銀行員は優秀である
どうぞ、ご一読下さい。
1 銀行員の力量は千差万別である
非上場の中小企業にとって、メインバンク以下の取引金融機関は、資金調達の源泉です。
それ故、中小企業経営者の中には、銀行の方が立場が上で、うちの方が下みたいに卑下する人もいますし、露骨に「俺は、銀行なんか嫌いやねん」と啖呵を切る方もおられます。
とはいえ、中小企業が金融機関を敵に回しても百害あって一理なしなので、喧嘩をしてはいけません。
敵に回してはいけない金融機関担当者だからこそ、中小企業経営者にとっては、「うちの担当に奴はどんな奴なんやろう? 変な奴やったら、たまったもんやないな」と内心、戦々恐々だったりします。
北出は、日々の仕事の中で、お客様を通じて、多くの銀行員と接していますが、「こいつは優秀やなあ」と感動することもあれば、「なんや、こいつ、アホやな」と吐き気を催すこともなきにしもあらずです。
金融機関の役職員は、他の業態、業種と比べれば、職責や役職に応じて、研修は充実しているはずですが、それにしても、一口に銀行員と言っても、その力量はバラツキがあることが否めません。
北出の肌感覚ですが、銀行員の力量を試す絶好のタイミングが「担当の交替時」です。
担当の交替時が、何故、銀行員の力量を試す絶好のタイミングなのでしょうか?
次の章で、掘り下げてみます。
2 ビジネスモデルを俯瞰できる銀行員は優秀である
まず、北出が「こいつ、ホンマにアホやな」と感じる銀行員の典型例が、謂わば「テンプレート型」です。
例えば、今回提出した前月の試算表と、前回提出した試算表とを見比べて、販管費の増減の理由を一々聞くような銀行員がその例です。
試算表はあくまでも試算表だし、月によって特殊要因があったりしますし、業種によっては、季節変動が大きくなるケースもあるので、単純に前々月と前月の試算表を比較することには労力を使うのはナンセンスです。
業種業態を問わず、数字の話をしておけば良いと考えるあたりが典型的な「テンプレート型」です。
こういう銀行員に当たってしまうと、銀行の営業店を出て、社長とクルマに乗り込んでから、北出は「社長、貧乏くじですわ」と同情してしまいます。
テンプレート型の銀行員は、ビジネスモデルを把握しようとしないので、強みや機会に視点が届かず、ニューマネーに取り組む時にも、アホのひとつ覚えで、「保証協会に打診してみます」の一点張りです。
本部の融資所管部門への説明も満足にできないため、プロパー資金で対応することをハナから放棄していたりします。
他方、新たに担当者になった優秀な銀行員は、まず持って融資先の会社のことを知ろうとします。
会社のことを理解する第一歩がその会社のビジネスモデルを把握することです。
ビジネスモデルを絵に書いて、会社のグランドデザインを描こうとする銀行員に当たると、「なかなか、こいつ、できるやん」と嬉しくなってしまいます。
現に、経営改善計画書でも、ビジネスモデル俯瞰図を作成します。
ビジネスモデルを把握できると、融資先の中小企業経営者との信頼関係を築くことができるようになり、経営者の人柄や経営手腕といった定性的要素への理解が深まります。
ビジネスモデルを正確に把握することで、融資以外のビジネスマッチングなどの提案がより容易になり、場合によってはM&Aの案件に進むことができるかもしれません。
ビジネスモデル俯瞰図を描くことができるか否かこそ、優秀な銀行員のバロメーターなのです。
中小企業経営者は、「銀行員」を十把一絡げで見ることはやめて、特に、担当者交替時には、新しい担当者の力量を測ると共に、信頼関係の構築に努める必要があるのです。