【中小企業経営者の心得】中小企業経営者目線で占う2024年とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、中小企業経営者目線で占う2024年を占ってみることにします。
今日の論点は、以下の2点。
1 2024年の鍵は「金利」にあり
2 中小企業の運命はメインバンクとの信頼関係にかかっている
どうぞ、ご一読下さい。
1 2024年の鍵は「金利」にあり
激動の2023年も残りわずかとなりました。
土日と祝日を除いた毎営業日に書いてきたこのブログも、今年はこれで書き納めです。
そんなドン詰まりの2023年の年の瀬ということなので、中小企業経営者目線で2024年を占ってみることにします。
こと、金融の面からすると、2023年は日銀総裁が黒田氏から植田氏に交代したことが大きなインパクトとなりました。
アベノミクスの代理人とも言えた黒田氏から、学者出身の植田氏がゼロ金利解除に前向きとも取れる発言をしたことで、ドル円相場での円安一本槍の地合に落ち着きが見られるようになりました。
併せて、長期金利が目に見える形で、上昇局面となり、住宅ローンの固定金利が上がりました。
明らかに、これまでのアベノミクスに変化が見受けられるようになりました。
そして、「金利のある世界」が現実のものに感じられるようになりました。
幸いにも、ほとんどの中小企業の借入金利は短プラやTIBOR3ヶ月ものに連動に連動するため、中小企業の支払利息が増えるような事態には至りませんでした。
他方、2024年を展望すると、短期金利が上昇しない保証は何もなく、むしろ、中小企業経営者が支払利息をコストとして実感するようなことになることも想定されます。
借入レートが上昇すると、その上昇分が支払利息の増加につながり、営業損益では利益が出ているものの、短期金利の上昇次第によっては、支払利息の増加分で営業利益が吹き飛んでしまうようなことになりかねません。
2024年は、中小企業経営者にとって、「金利」が大きな経営課題として実感される可能性が高まっています。
中小企業経営者は、来るべき2024年には、「金利」の変動によりセンシティブにならなければならないかもしれません。
2 中小企業の運命はメインバンクとの信頼関係にかかっている
1 で書かせて頂いた通り、アベノミクスの長らく続いたジャブジャブのゼロ金利状態からの脱却が2024年には現実化しそうな気配です。
2024年は、ジャブジャブの金融緩和状態から、金融引き締めの局面への転換が予想されます。
金融引き締めの局面で、常に問題となるのが、金融機関のBS劣化であり、もっと言えば、金融機関の安全性の低下です。
小泉、竹中の時代ではありませんが、現実に弊所が関与させて頂いているお客様中小企業のメインバンクのいくつかで、ディスクロージャー誌で公表されているだけで、保有している債券の含み損が相当な額で顕在化してきています。
保有している債権の含み損は、不良債権そのものです。
来るべき2024年に、更に、債券安(金利の上昇)が続くと、資金運用力の脆弱な地域金融機関の中には、資本不足とは言わないまでも、自己資本の劣化が今まで以上に加速する可能性も捨てきれません。
債権の含み損が拡大すれば、総資産の圧縮のため、正常先であっても、リスク資産とされるプロパー資金に及び腰になったりして融資が出にくくなる懸念が出てきます。
さらには、中小サービス業が調達しまくったコロナ資金で、コロナ禍以降借入総額が増加した中小サービス業で、返済原資が十分捻出できなくなったりすれば、リスケジュールも余儀なくされるケースも出てきます。
弊所では、コロナ で痛んだ中小サービス業へのコンサル支援を2024年は今まで以上に強化し、全力で取り組んでいく方針です。
中小企業にとっては、円安が一段落したとはいえ、依然として原材料価格が高止まり、政労使を巻き込んだ賃上げ圧力による人件費の高止まりによって、コスト高が続くことが予想されることで、中小企業を巡る外部要因は更に厳しさを増しそうです。
中小企業経営者は、外部環境が厳しいことを念頭に置いて、来る2024年は金利の動向を注視しながら、自社のメインバンクの資金運用動向と不良債権処理の状況を把握をした上で、メインバンクとの信頼関係をこれまで以上に強化していく必要があるのです。