【中小企業の銀行対策】2024年は「支援」から「サバイバル」にフェイズが移行する理由とは?
新年一発目のメルマガは、中小企業の銀行対策として、2024年が「支援」から「サバイバル」にフェイズが移行する理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 手厚い「支援」はもうおしまい
2 自主自律、サバイバルが2024年のキーワードである
どうぞ、ご一読ください。
1 手厚い「支援」はもうおしまい
2024年が始まりましたが、地震と航空機事故で、「今年は大荒れやな」と反射的に身構えた中小企業経営者が少なからずいたはずです。
確かに、新年早々、大変な災害と事故発生が、日本列島を震撼させたことは間違いありません。
早くも荒れ模様の2024年ですが、中小企業を巡る外部環境は、なかなかに厳しいものがあります。
特に、コロナの影響を受け、深傷を負った中小サービス業にとっては、いよいよ正念場の年になると北出は断言します。
昨年年末近くに報道された金融庁の金融機関への監督指針の中でも、「資金繰り支援」から「事業再生へ」が相当程度明文化されています。
コロナの影響から、コロナ資金を調達するだけ調達しておいて、コロナ特例リスケや収益力改善計画の元で、リスケジュールをしている中小サービス業は相当数に上ります。
これまでは、「とりあえず返済を止めてしまえ」だったのですが、2024年はそういうわけにはいかなくなります。
ましてや、コロナ以前から条件変更(リスケジュール)を受けてきた中小企業にとっては、「結果を出す」ことが求められます。
アクションプランで表明した施策の進捗が今ひとつであったりすると、中小企業経営者が「ホンマに返済していくつもりですか?」と債権者から詰められることにもなりかねません。
そもそも、ビジネスモデルが昭和型で陳腐化してしまっていて、2024年に更に進むことが予想されるDX化に対応できなかったり、後継者が不在であるようなリスケジュール先には、選別が始まる可能性が高まります。
「業界も悪いし、世の中もパッとしないから、なんとか返済を待ってもらえますか」だけでは、2024年を乗り越えることは難しいのです。
2 自主自律、サバイバルが2024年のキーワードである
コロナの影響を受けた中小サービス業について、ズラズラ述べましたが、実は直接的にコロナの影響を受けていないような業種、業態の中小企業でも、コロナ資金を借入ています。
コロナ資金を調達したほとんどの中小企業は、コロナ資金だけではなく、コロナ前からの既往の運転資金と設備資金の借入残があって、既往の借入金に加えて、コロナ資金の返済もドンドン加わってきます。
リスケジュールしてしまうのは難しくありませんが、北出の経験則上、リスケジュールをしてしまってから、収益をV字型に回復させ、リファイナンス( 最長10年程度で借り換えをすること)に持ち込むことは実は容易なことではありません。
実際、コロナ前からリスケジュールをしている中小企業の場合、「リスケ慣れ」してしまっていて、挙句の果てには、「もう今のままでええか」と返済を再開し、返済額を増額することへのモチベーションを失ってしまっている中小企業経営者も散見されます。
そのような「リスケ慣れ」している中小企業こそ、まさしく「ゾンビ企業」そのものです。
コロナ資金を多額調達した中小企業にとっては、ゾンビ企業で終わってしまうのか、自主自律をして、お借りしたものはきっちりお返しするという当たり前の商道徳を実践できるのか、瀬戸際のサバイバルの一年です。
お借りしたものはきっちりお返しすることへの道筋をつけるためにも、2024年を自主自律、サバイバルの一年にする必要があります。
中小企業経営者は、ドル円相場がドル高に一気に振れることは望み薄で、原材料、人件費といったコスト高が続くことを想定しながら、2024年を自主自律とサバイバルを念頭に置いて、次世代に残せる中小企業を創造することを目指す必要があるのです。