【中小企業の銀行対策】決算書を比較検証する重要性とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、決算書を比較検証する重要性について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 取引金融機関は決算書を分析している
2 比較検証は前期実績比と計画値比の2つの目線で行われる

どうぞ、ご一読下さい。

1 取引金融機関は決算書を分析している

中小企業は年一回、12ヶ月間で決算を締めるのが通常です。
仮に、3月決算であれば、5月31日までに所管税務署に税務申告をし、法人税と確定の消費税を納付します。

中小企業が民間金融機関から融資を受ける際には、決算書を提出しますし、税務申告が完了するタイミングで、金融機関担当者から決算書を提出するよう要請を受けます。
中小企業経営者は、当たり前のように、決算申告が完了して出来立てホヤホヤの決算書をメインバンク以下取引金融機関各項に提出します。

金融機関では、債務者中小企業から提出を受けた決算書をそのままファイルに綴じ込んでおくわけではなく、行内のシステムに決算データを入力し、分析をしています。
特に、BS(貸借対照表)に関しては、不明瞭な資産勘定(費用性の資産や資本性を失っている資産)の存在の有無を見極めて、自己査定(資産査定)を行います。
自己査定の結果を受けて、行内の信用格付けや債務者区分を見直して、場合によっては、予防的に引当を積むことがあります。

中小企業経営者からすれば、取引金融機関各行に当たり前に提出している決算書ですが、金融機関の融資係や本部の審査所管部署では、相当シビアに評価されています。
金融機関から融資を受けている中小企業経営者にとっては、決算書は、会社の命運を左右しかねない大事な大事な通知表そのものなのです。

2 比較検証は前期実績比と計画値比の2つの目線で行われる

債務者区分が「通常先」である中小企業にとってはここまでなのですが、経営改善局面の中小企業の場合、金融機関の分析検証はこれだけで終わりません。

次に、PL(損益計算書)に於いて、売上の増減、製造原価と売上総利益率の変化、販管費の変動について検証が行われます。
もちろん、前期比増収増益となっていて、経営改善が進んでいることが明らかになればポジティブです。

しかしながら、アフターコロナのご時世では、原材料高、人件費の上昇に代表されるように、コストアップ要因がてんこ盛りです。
アフターコロナでインバウンド需要を取り込んだことで増収となっても、コストアップによる減益、あるいは赤字転落となれば、ネガティブな評価になってしまいます。

さらに、経営改善計画が策定されている場合には、前期実績との比較に加えて、計画値に対する達成、未達の要因を明らかにする必要が出てきます。
マイナスの外部要因によるものであればやむなしというところですが、内部要因の弱みが露見して、計画未達となれば、更なる改善策の具体化が必須です。

金融機関に提出された経営改善計画は非常に重いものです。
「そんなつもりで作ったわけではない」とか「専門家が勝手に作ったもので、経営者である私は知ったこっちゃない」という経営者の弱音は金融機関には通りません。

他方、経営改善計画の策定目的は、会社の収益改善によるFCF増加と財務体質の健全化を狙ったものなので、経営改善計画に対して実績が未達に終わってしまうことは、会社の収益改善によるFCF増加と財務体質の健全化が遠のいてしまうことに直結します。

とかく、ネガティブな外部要因が横行する昨今ですが、中小企業経営者は、決算書を軽んじることなく、経営改善局面であれば、経営改善計画を毎期毎期達成していく経営努力を怠ってはならないのです。

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