【中小企業の銀行対策】長期借入金を着実に返済して過剰債務を解消する方法とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、長期借入金を着実に返済して過剰債務を解消する方法について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 短期か長期かを間違えてはいけない
2 返済のための追加借入はもうやめよう

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 短期か長期かを間違えてはいけない

中小企業経営者の中には、「ちょっと借入が多くなってるなあ・・・」と内心気になっている方がいらっしゃるかもしれません。

特に、先行き不透明感が一気に増したコロナ禍では、中小サービス業のように、新型コロナウイルス感染症の影響をもろに受けた業界ではなくても、「手元流動性をしっかり確保しておきたい」という経営者の防衛本能が働いて、コロナ資金を調達した中小企業が少なからずありました。

コロナ資金に関しては、コロナ禍の影響がどのように及ぶのか、予測不能であったことから、返済期間が民間金融機関で10年間、政府系金融機関では最長20年間に設定され、返済負担の軽減が図られました。
返済期間が通常の資金よりも長期に渡ることで、確かに、月次の返済負担は軽減されましたが、一方で、返済が始まってもなかなか借入金が減らない現象が顕在化していきます。
これまでの金融機関の中小企業支援の主な柱が「資金繰り支援」でしたが、来年度の行政庁の監督指針は「事業再生」に舵が切られていきます。
いつまでも、「資金繰りが大変でしょ」、「だから返済条件の緩和もOKです」というフェイズが続くわけではなくなってきました。

このようなフェイズの変化がある中、コロナが落ち着いて多くの中小企業が「攻めの経営」に転換していくことで、資金需要は確かに旺盛になっています。
ここで、同じ金額を金融機関から調達する際、中小企業経営者が「短期なのか、はたまた長期なのか」を見誤ると禍根を残してしまう懸念があります。

例えば元請建設業のように、工事が進捗する中で立替資金が必要となるような場合には、返済原資は、役所や施主さんからの最終施工代金となるため、資金は短期で調達しなければなりません。
また設備資金のように、返済原資が当該設備の減価償却費に求められる場合には、長期で、かつより長めの返済期間で資金を調達することが合理的です。

本来、短期資金を調達すべきところ、長期で資金を調達してしまうと、本来の資金需要がなくなっても返済が残り続けるため、過剰債務の温床になってしまいます。
他方、金融機関側からすると、短期資金の管理が煩雑となるため、長期の証貸、返済期間7年で突っ込んでおいてしまえ、となってしまいかねません。
中小企業経営者は、所用資金の性格を正確に把握して、短期なのか、長期なのか、返済期間と返済方法をしっかりと見極める必要があります。

2 返済のための追加借入はもうやめよう

過剰債務の原因の一つとして、上記で見た通り、長短の調達ミスを挙げました。

二つ目の過剰債務の原因として挙げられるのが、「長期借入金の折り返し」です。
金額50百万円、返済期間7年で調達した資金について、実行後3.5年経過したタイミング(借入残高25百万円)で、25百万円を折り返して、元々の50百万円を調達する方法です。
「長期借入金の折り返し」は、中小企業融資では日常的に行われています。
しかしながら、そもそも金額50百万円、返済期間7年の資金は、業績(収支)見通し、売掛債権、在庫、買掛債務を加味して、7年間でしっかり返済できるはずの資金です。
ところが、返済期間の途中で、長期借入金を折り返して資金調達するケースでは、業績(収支)見通し等が甘く、結果として資金を手当てしなければならない状況に陥ってしまっていることに他なりません。

返済期間の途中で、長期借入金を折り返して資金調達している限り、過剰債務からは脱却できません。
長期資金を折り返しているということは、返済のために追加借入している証左です。

もちろん、過剰債務の解消には一定の時間が必要です。
しかしながら、中小企業経営者は、返済のための追加借入をもうやめることを決断して、「貸してもらえるのはありがたい」を脱して、商いの基本である「入りの中で出を賄う」ことに回帰し、自社の資金繰り管理に新しい視点を入れる必要があるのです。

 

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