【中小企業の銀行対策】多くの銀行員が連続休暇を取るこの時期に留意すべきこととは?
今日は、中小企業の銀行対策として、多くの銀行員が連続休暇を取るこの時期に留意すべきことを考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 銀行員は1週間の連続休暇を取る
2 この時期の融資の稟議は通常よりも時間がかかる
どうぞ、ご一読下さい。
1 銀行員は、1週間の連続休暇を取る
7月ももう早、22日。
先週後半から、学校も夏休みに突入しました。
暑さはたまりませんが、なんとなくバカンスムードが高まる時期です。
金融機関の役職員は、基本的に1週間の連続休暇を年度のどこかで取る必要があります。
若手の銀行員は、海外航空券が比較的安価な6月とか、年明けの2月に取得するケースも見受けられますが、多くの金融機関役職員は、お盆を中心に、7月から8月にかけて連続休暇を取得します。
金融機関は、そもそも暦通りに営業していますが、お盆の時期には、来店客数が減少しますし、ましてや外回りの渉外係や営業課、得意先課員にとっては担当する法人先、事業先が夏季休業に入るため、そのタイミングに併せて連続休暇を取得するケースが多くなります。
基本的には、外回りや融資係は、皆、休む人が重複しないよう、交代で休みを取るよう、配慮されています。
弊所の場合、お客様の会社に、取引金融機関のモニタリングのため、毎月お邪魔するため、この時期には、担当者に「おやすみ、いつ、取るんですか?」と必ず聞くようにしています。
銀行員の連続休暇制度は、平成の時代から多くの金融機関で、運用されてきましたが、もちろん、今のこのご時世ですので、働き改革の一環でもありますし、しっかりと休んでリフレッシュして家族サービスをして、休暇明けから全力で仕事に取り組むというのが建前です。
しかしながら、銀行員の連続休暇制度はそのようなホワイトなことばかりではなくて、不正防止という観点で運用されている面も否定できません。
そもそも、「全く休まない」銀行員というのも、おかしな存在です。
もしも、万が一、不正を働いている銀行員がいれば、不正が明るみに出ることを恐れ、安直に休むこともできません。
仮に、休んだところで、(いつかバレるんと違うやろか・・・)と思うと、気が休まることはなく、枕を高くして寝ることもできません。
検査部による定期的な検査や営業店内の店内検査に限らず、毎日の業務は伝票一枚一枚が検印によってダブルチェックがなされているにもかかわらず、預金の着服など、昭和の時代からあるような古典的な金融機関での不正が新聞で報道されているのを見ると、暗澹とした思いに襲われてしまいます。
いずれにしても、7月から8月にかけては、多くの銀行員が連続休暇を取る期間であることは間違いありません。
2 この時期の融資の稟議は通常よりも時間がかかる
休みを取る銀行員は、若手の非役職者だけではありません。
営業店では、部店長(支店長等)も、次席(次長、副支店長)も、役席も、本部では、与信所管部門(融資部、審査部等)の調査役や審査役も、例外なく休みを取得します。
支店長がいないと、次席がその職責を代行するわけですが、難しい与信判断が求められる融資案件では、次席の立場からすると、どうしても「支店長のご意向を伺わねば」となりますし、小規模な金融機関の与信所管部門の調査役や審査役は限られた人員しか配置されていません。
このため、お盆のど真ん中に、中小企業経営者が、「あかん、月末に資金がショートする。メインバンクになんとかしてもわらんと、なんともならん」と資金繰りが厳しくなった時、メインの担当者の携帯電話は本人が出ず、痺れを切らして支店に電話を入れたら、「〇〇は今週いっぱい、おやすみを頂いています」という悲しい応対がされたりします。
もちろん、担当者本人が休みでも、役席や、場合によっては次席がフォローするようになってはいるものの、担当者とは違い、取引先のことをよくは知らない役席や次席では、後ろ向き資金であればあるほど、対応が後手後手になってしまうことも懸念されます。
また、本部与信所管部門の決裁が必要な場合、調査役が休みに入っていれば、「稟議決裁は来週で良いか」となってしまいかねません。
このように、この時期の金融機関では、役職員の連続休暇の取得がピークに達します。
「(メインの担当者に)あいつ、のんびり休みやがって」と悪態をついても何も始まらないので、中小企業経営者は、銀行員が休みを取る時期であることを認識して、普段以上に、資金繰りをよりシビアにみておく必要があるのです。