【中小企業経営者の心得】給料日の設定が資金繰りに大きな影響を与える理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、給料日の設定が資金繰りに大きな影響を与える理由について、考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 給与資金は月中総支払額の多くを占める
2 給料日の設定次第で資金繰り余力が大きく左右される
どうぞ、ご一読下さい。
1 給与資金は月中総支払額の多くを占める
製造業や、建設業といった従来型の産業の場合、費用の多くを占めるのが「人件費」です。
例えば、飲食業で、経常損益が±0であって、売上高に対する人件費比率が30%であれば、売上原価と販管費と支払利息を合計した総費用の内、人件費が30%を占めることになります。
総費用の30%といえば、会社にとっては、大きな費用負担です。
同時に、資金繰りにも大きな影響を与えるのも当然で、給料日の前日には給与資金として給与振込(キュウフリ)を流動性預金に準備しなければなりません。
賃金の支払方法として、法令が定めているのは、毎月1回以上給料を支払うことと給料日を設定することです。
仮に、会社は、月末締切であれば、翌月末までに給料を支払わなければなりません。
この法令の定めを無視すると、労働基準監督署から是正措置を受けたりすることがあるので、要注意です。
とにかく、人件費の支払は会社にとって大きなキャッシュアウトの要因となることは間違いありません。
2 給料日の設定次第で資金繰り余力が大きく左右される
一般的に、B to Bのお客様からの売掛金の振り込みは、五十日(ゴトオビ、ほとんど死語かな)、特に25日や月末に集中しがちです。
経営者や経理担当者からすれば、なるべく給料日を遅く設定して、振り込まれてくる売掛金回収分を給与資金に充当したいのが本音です。
給料日を月末締切、翌月月末に設定すれば、資金繰り的には相当余力が出てきます。
加えて、給与計算にも時間的余裕ができて、経理部門としては特に業務負担が軽減できます。
他方、これだけ人手不足が深刻になって、人材面で売り手市場が鮮明になると、給料の締め日から支払日までの日数が長いことで、新規求人を行う際、他の競合他社との比較で不利になりかねません。
(なんや、あの会社、給料日遅いなあ。もうすぐ会社潰れるシグナルと違うか?)などと陰口が囁かれないとも限りません。
一般的な資金繰り表のフォーマットでは、月末資金の有り高がプラスになれば資金ショートしないという建て付けになりがちですが、給料日や総合振込の支払日が月中であれば、月中に資金ショートする可能性も無きにしもあらずです。
このようなことがないよう、弊所では、資金繰りがタイトな中小企業のお客様に対しては、日次資金繰り表(「日繰り(ヒグリ)」とも言う)を必要に応じて作成することを支援しています。
中小企業経営者の皆様、月次の資金繰り表では飽き足りないと仰る場合には、日次の資金繰りの支援を行っておりますので、お気軽に弊所までお声がけ下さい。