【中小企業の銀行対策】メインバンクの短期プライムレートを知っておくべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンクの短期プレイむレートを知っておくべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 短期金利は上がっていくことを覚悟しておく
2 自社の出来上がりの適用レートを知っておく

どうぞ、ご一読下さい。


1 短期金利は上がっていくことを覚悟しておく

市場金利の上昇が、とかく折に触れて報道されるようなりました。
日銀の政策決定金融会合の意向もあって、長期金利の上昇傾向がジリジリ続いていて、10年もの日本国債の利回りが1%超となっているのが日常的な風景となりました。

信用金庫等、一部の地域金融機関では、長プラ連動の融資があるため、すでに、信金等の長プラ連動の融資の適用レートが引き上げられているケースも見受けられます。

他方、地方銀行は、各行が資金調達コストを加味して独自に短期プライムレート(短プラ)を設定していて、多くの中小企業向けの融資が、単プラ連動となっていますが、幸いにも短期金利が依然として底ばい状態が続いているため、地方銀行各行は自行単プラを横ばいとしています。

一般に、地方銀行大手行は、固定性預金より流動性預金の比率が高いため、相対的な預金調達コストは安上がりなので、多くの地方銀行(いわゆる「第一地銀」)の短プラは、年率1.800%から1.875%となっています。
一方、旧相互銀行にルーツを持ついわゆる「第二地銀」の短プラは、固定性預金による資金調達ウェイトが高い傾向にあるため、「第一地銀短プラ」よりも若干高めの2.000%となっているようです。

ただし、第一地銀と第二地銀が合併した1.5地銀(正式な名称ではない)が各地に誕生しているため、かつてのような「第一地銀短プラ」と「第二地銀短プラ」と明確に分かれてはおらず、各金融機関の預金調達コストを忠実に反映した自行短プラを設定しているのが現状のようです。

一部の超優良先の中小企業向け融資は、短プラ連動ではなく、TIBOR(東京銀行間金利)にスプレッドを乗っける形で金利が決まっていますが、大多数の中小企業の場合、TIBOR連動には縁がありません。

明日、明後日は、日銀の政策金融決定会合が行われる予定で、金利の引き上げが決定されるかどうかはわかりませんが、中期的には短期金利が上昇していくことは間違いなさそうです。
短プラが上昇するということは、中小企業の資金調達コストが上昇することに直結します。
資金調達コストの上昇とは、言葉を変えると、支払利息が増加することです。
過剰債務の会社であれば、短期金利の上昇による支払利息の増加分が営業利益を吹き飛ばしてしまうこともなきにしもあらずです。

中小企業経営者は、短期金利が上昇していくことを今から覚悟しておく必要がありそうです。

2 自社の出来上がりの適用レートを知っておく

このように、過去30年ほど、経験のなかったような金利にシビアな世界がそう遠くないタイミングでやってきます。
金融リテラシーの高い中小企業経営者であっても、意外にも自社の適用レートがいくらなのか、明確に即答できる方はおそらく少数派です。
ましてや、金利の決まり方が固定なのか、変動なのかを把握している中小企業経営者はそうそうはいなさそうです。

金利の上昇局面にあっても、固定金利であれば、短期金利の上昇の影響は皆無です。
固定金利は、政府系金融機関やコロナ資金等の制度融資に適用されます。
謂わば、金利変動リスクを金融機関が負っている形なので、民間金融機関としては固定金利の融資はなかなかハードルが高いのです。

他方、変動金利の場合、例えば、メインバンクが第一地銀で、メインバンクの短期プライムレートが1.875%で、短プラの上乗せ幅が0.500%である場合、出来上がりの金利は2.375%となります。

金利の上昇局面を迎えている今だからこそ、中小企業経営者には、取引金融機関各行の適用レートとその決まり方を確認することをお勧めします。
また、押さえておくべきことが、金利は、0.125%刻みであることも見逃せません。

中小企業経営者が、メインバンク担当者に「うちの金利だけど、長期の3本の出来上がりで2.375%てことは、0.500%上乗せされているというわけやな」とジャブを出しておくと、メインバンク担当者は、ちょっとだけ怯みます。
メインバンク担当者に、(この社長には変な金利引き上げ交渉はやめておいた方が良さそうだ)と思わせておくことは、ある種自社にとっての抑止力として有効です。

中小企業経営者は、金利上昇局面だからこそ、自社の金利にシビアになっておくことが必要なのです。


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