【中小企業の銀行対策】大賃上げ時代に自社の持続可能性を高める方法とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、大賃上げ時代に自社の持続可能性を高める方法について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 大賃上げ時代には今まで以上に資金が必要となる
2 成長力を上げるためにメインバンクとの良好な関係が必須である

どうぞ、ご一読下さい。


1 大賃上げ時代には今まで以上に資金が必要となる

今年の春闘は、大手企業の経営側の集中解答日が昨日で、大手企業の春闘はほぼ一巡した感が強いです。

全体的には、自動車メーカーを中心に、ベースアップ然り、一時金(ボーナスのこと)然り、労働側の要求を経営側が丸呑みするようなケースが多くみられました。
大手企業では、賃上げの勢いが加速していて、謂わば大賃上げ時代が到来したということができるかもしれません。

他方、中小企業の春闘はこれからですが、中小企業といっても、労組があって、労使交渉が行われるような企業は、中小企業というよりも、中堅企業という範疇に近く、中小企業や小規模事業者にとっては、経営者も労働側も「うちには関係ないこっちゃ」という感覚が拭えません。

とはいえ、中小企業であっても、賃上げがゼロ回答ということになれば、転職エージェント全盛のこの時代、優秀な人材が流出してしまいかねません。
賃上げを実施している中小企業は、実態として、利益を削って、無理やり賃上げ原資を捻出しているというのが現実のように北出には見受けられてしまいます。

さらには、大賃上げ時代の流れは今年1年で終わるものではなさそうで、近い将来、継続的に賃上げが世の中のトレンドとなり続ける公算が高いと言えます。
このため、既存の利益を削って、賃上げ原資を捻出していれば、いずれ赤字に転落して、事業継続に黄色信号が灯りかねません。

このように、大賃上げ時代には、デフレ時代には想定されなかった資金が必要となることは間違いなさそうです。

【中小企業の銀行対策】大賃上げ時代に自社の持続可能性を高める方法とは? 

2 成長力を上げるためにメインバンクとの良好な関係が必須である

それでは、いざ、賃上げを実現するために、会社を持続的に成長させるために、必要なことはどのようなことでしょうか?
考えてみることにします。

中小企業経営者が、毎朝の朝礼で、「うちの会社も賃上げをしていきたいので、皆さんの頑張りが必要です。今日も全力でがんばりましょう!」と精神論をぶっても、従業員の一部がドン引きしてしまわない保証は何もありません。

実際、最近、経営改善計画を策定する際に、製造業の場合、売上高を横置きにしても、原材料が年率数パーセント増、労務費が年率2〜3%増、販管費の諸経費は現状並みとして収益計画を置いてみると、年々フリーキャッシュフロー(FCF)が減少していって、金融機関への返済原資が不足してしまいます。
この事実はとても示唆的なもので、今は良くても、現状のままのビジネスモデルを継続していくと、キャッシュが減る一方となる証左なのです。

このため、生産設備のバージョンアップやDXの導入等の設備投資で生産性を上げたり、省力化して労務費を適正化していくことが必要不可欠であることは、経営改善計画の策定をしていて、北出は強く痛感します。
また、営業部門でも、「今日も頑張ろう! エイエイオー」では既存のお客様への売上は頭打ちですし、新規顧客の開拓も進みません。
経営者や営業部門の責任者が、精神論ではなく、提案営業の拡充やプレゼン力の増進など、個々の営業担当者の力量アップを図り、科学的な営業活動を組織的に行う必要もあります。

DX化の推進や生産効率向上のための設備投資や、営業担当者の研修の充実など、今までになかった投資が必要となります。
また、売上増加局面では、支払が先行する一方、売掛の回収サイトはより長くなってしまう可能性があります。
設備投資や増加運転資金をタイムリーに調達するためには、メインバンクとの対話が必要不可欠で、説明責任を果たす必要がありますし、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫といった政府系金融機関の制度融資を活用することも重要です。

中小企業経営者は、いい加減、デフレマインドから完全脱却し、大賃上げ時代には、これまでとは異次元な資金が必要であることを再認識して、経営者自らが取引金融機関への説明責任を果たす必要があるのです。


資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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