【中小企業の銀行対策】金融機関の融資先中小企業への「賞与」への目線とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、金融機関の融資先中小企業への「賞与」への目線について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 「正常先」であれば賞与は経営者の腹づもり次第
2 経営改善中の中小企業は事前に取引金融機関にネゴしておく

どうぞ、ご一読下さい。

1 「正常先」であれば賞与は経営者の腹づもり次第

今日は、12月10日。
役所や大手企業の多くで、賞与が支給されました。
賃上げへの世の中の関心が高まる中、役所や大手企業の多くで、昨年よりも多くの賞与が出ている報道がなされています。

一方、中小企業経営者からすれば、賞与の支給の可否、そして支給するならばいくら出すべきか、悩みどころです。
中小企業のオーナー経営者からすれば、日頃の従業員の頑張りに報いるため、可能な限り、より多くの賞与を支給したいところです。
他方、例年通り、賞与というよりは、「寸志」に近いような金額を年末最終営業日に現金で手渡しするような中小企業、小規模事業者も少なくありません。

大手企業の場合、冬季賞与について、3ヶ月分だとか、3.5ヶ月分とかで報道されていますが、中小企業、小規模事業者で実際のところ、そこまでの支給額を支給できる会社は少数派だと言えます。

賞与の基本的な性格は「利益処分」です。
感覚的には営業利益の一部を従業員に還元するというイメージです。
実際の賞与支給額をいくらにするかは、直近の試算表の営業利益(経常利益ではない理由は、支払利息、借入金がいくらかは従業員には関係ないため)の一部から導き出すのが妥当だと考えられます。

他方、融資を受けている取引金融機関は、賞与についてどのような目線でいるのでしょうか。
基本的に、返済の約定通りの正常先で、返済原資もきっちり出ている限り、取引金融機関は賞与について何もコミットすることはありません。
「日頃の社員さんの頑張りに報いてあげいるのですね」で終わりです。

【中小企業の銀行対策】金融機関の融資先中小企業への「賞与」への目線とは?

2 経営改善中の中小企業は事前に取引金融機関にネゴしておく

他方、過年度の欠損によって債務超過を脱していなかったり、リスケジュール中である場合の中小企業は賞与をゼロにすべきなのでしょうか?
債権者である金融機関からすれば、「当行は返済条件を緩和しているのに賞与を出すとは納得がいかない」というのが実際の本音のところなのかもしれません。

しかしながら、経営改善が進んでいる場合であれば、ひとえに従業員の一人一人の頑張りがあってこそですし、賞与を出さないことで、優秀な従業員が他社に流出してしまうようなことがあっては、試算表には直接計上されない大きな損失となってしまいます。

このため、経営改善中の中小企業であれば、賞与を支給する前の段階で、取引金融機関担当者に「うちはまだまだ経営が大変な状況だけれど、人材確保のため、最小限度の賞与を出す方針やねん」と事前にネゴっておくと取引金融機関から後々グズグズ言われるようなこともありません。
このように、賞与に限らず、事前に取引金融機関にネゴっておく機会を持つためにも、月次の業況報告は経営改善中の中小企業には必須なのです。

原材料他物価が上昇する中、従業員への賞与支給や賃上げを実施していくことは中小企業にとって容易なことではありませんが、中小企業経営者は、自社のサステナビリティを高めていくための弛まぬ経営努力が必要なのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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