【中小企業の銀行対策】長期にわたるリスケジュールが招く連帯保証のワナとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、長期にわたるリスケジュールが招く連帯保証のワナについて考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 リスケジュールした既往借入金は経営保証ガイドラインの対象外である
2 リスケジュールの長期化により縁が薄くなっていく

どうぞ、ご一読下さい。

1 リスケジュールした既往借入金は経営保証ガイドラインの対象外である

2009年に施行された中小企業金融円滑化法によって、中小企業にとっては、既往の金融機関借入金のリスケジュールの道が大きく広がりました。
円滑化法自体は、2013年3月末をもって期限切れとなっていますが、期限切れ後においては、行政庁による金融機関への「債務者からの返済条件の変更の要請には柔軟に対応すること」という行政指導が継続されています。
このため、実質的には、円滑化法時代と同様、融資先が反社であったり粉飾決算が露見するなどといった格別の事情がない限り、金融機関側からリスケジュールの謝絶がなされるようなことはほとんどないというのが実際のところです。

他方、円滑化法の施行以来、やがて17年が経過しようとする中にあっても、円滑化法初期段階からリスケジュールが常態化していて、事実上「ゾンビ化」している中小企業がなきにしもあらずです。
事実上、「ゾンビ化」している中小企業は、依然として元本返済額は少額に過ぎず、債務償還年数が数十年から100年近くに及んでいるケースも散見され、リスケジュールを脱し、リファイナンスへの道筋が見通せない中小企業が存在します。
そのような中小企業の場合、当初のリスケジュール実行から10年超が経過しています。
リスケジュールが長期化している場合、既往の借入金の条件変更が続いているため、新規融資には該当しません。
新規融資に該当しないため、経営者保証ガイドラインの対象にもなりません。
このため、連帯保証人は、年に1回(場合によっては半年毎)に金融機関への条件変更契約書にサインをし続けています。
リスケジュールが10年超にもなってくると、主たる債務者の中小企業とその代表者だけではなく、第三者の連帯保証人も格別の注意を払うことなく、成り行きでサインをしてしまっています。
このような状況では、リファイナンスへの機運も高まらず、永遠にリスケジュールということにもなりかねません。
借入金は、助成金や補助金と違って、返済しなければならない債務であることを改めて、中小企業経営者は認識する必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】長期にわたるリスケジュールが招く連帯保証のワナとは?

2 リスケジュールの長期化により縁が薄くなっていく

リスケジュールが10年超にも及んでくると、当初の借入実行が20年近く前という既往借入金の借入残高が残ってしまっています。
20年近く前には、円滑化法も経営者保証ガイドラインもなかったため、後ろ向き資金で無理クリの融資の場合、代表者だけではなく、その家族や、第三者が人的保証を求められたケースもなきにしもあらずでした。

ところが、リスケジュールが10年超にもなってくると、連帯保証人も同様に年齢を重ねてきます。
当初の融資実行がなされた当時、60歳であった第三者保証人はもう70歳代半ばです。
70歳代半ばと言っても、今時の高齢者の多くは元気一杯で、旅行や遊びに悠々自適な時間を過ごしていますが、中には、病気のため入院を余儀なくされたり、最悪、亡くなってしまうことも起きてきます。
第三者保証人が、代表者のおじさんや従兄弟であって、最悪、亡くなってしまうと、その法定相続人は、代表者からすれば見ず知らずの遠い親戚ということにもなりかねません。
そのような第三者に限って、法定相続人に連帯保証債務を負っていることを告げることなく、亡くなってしまったりするので、当初融資実行時の事情を知らない法定相続人が続出します。
「なんや、この保証債務は? どういうことやねん??」
これでは、いくら遠い親戚といっても、親戚の縁が断続してしまいかねません。
最悪の場合、法定相続人全員が、第三者連帯保証債務の存在のため、相続放棄に追い込まれることにもなりかねません。
第三者の連帯保証人がかけてしまうと、人的保証を見込んでリスケジュールに応じてきた金融機関も対応に苦慮することになります。

このように、第三者の連帯保証債務はリスクだらけです。
リスケジュールが長期に及び、第三者の連帯保証債務が存在する場合には、一刻も早く、収益を改善し返済原資を確保することによって、リスケジュールへの道筋をつけて、事業継続の道筋を明確化する必要があるのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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