【中小企業の銀行対策】危機対応時こそメインバンクとの取引関係が試される理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、危機対応時こそメインバンクとの取引関係が試される理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 経営者の仕事は会社の実態を常日頃からメインバンクに伝えることである
2 会社の実情を把握しないままメインバンクは支援を続けられない
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営者の仕事は会社の実態を常日頃からメインバンクに伝えることである
中小企業の多くはオーナー経営者で、オーナー経営者は創業者であるケースが多くなっています。
創業者でオーナー経営者は、営業畑の方が多く、ここぞという局面で、しっかりと商談をまとめてくることが多く、会社の中では、オーナー経営者でありながらも、実権者で、かつ実務の最高責任者です。
このため、創業者で、オーナー経営者は、会社の中では絶対的権限を持っていて、社内外から一目置かれる存在です。
そのような営業畑で、叩き上げの経営者の中には、銀行対応を経理部長や、奥様で経理担当専務取締役に丸投げしていて、なかなか、メインバンク担当者とゆっくりと対話をすることが少ないケースも散見されます。
しかしながら、コロナ禍と同様に、今回の中東危機に端を発する形で、中小企業に「オイルショック」が影響を与えています。
直接石油由来に関連する業界だけではなく、様々な業界にて、商品の入荷見込みが立たない状況にあったり、生産調整が行われるなど、実務を仕切る中小企業経営者からすれば、「あれ、ちょっとおかしいぞ」と先週末以降、様々な形でアラートが頭の中で鳴り始めているはずです。
「あれ、ちょっとおかしいぞ」という事態に即応できるのが、「ゲンナマ」です。
そのゲンナマを緊急に調達する必要性に迫られた中小企業経営者は、普段はほとんど面識のないメインバンク担当者の携帯電話に電話をかけて、「ちょっと相談があるんよ」と持ちかけているところかもしれません。
ところが、資金の必要性も含めて、業界の現況等外部要因の他、会社の経営課題や強みを普段から共有されていないメインバンク担当者からすれば、ともすれば(融資の時だけ、この社長は電話をかけてくる)というネガティブなイメージが先行しがちです。
上場企業の株主総会で、社長自らが議長を務めて議決を粛々と取りまとめているのも、上場企業自体が、資金の出し手である株主を大切にしている何よりの証左です。
非上場の中小企業にとっては、議決権こそ取引金融機関にはありませんが、なんといっても、取引金融機関は資金の出し手にして、大口債権者です。
このような資金の出し手で大口債権者に対して、常日頃から会社の強み、弱みと外部要因を共有すべきなのが経営者自身です。
中小企業経営者は、取引金融機関に対して、(所詮はゼニ貸しのクセに)という類の意識は捨て去って、自らが主体的に取引金融機関に対して、積極的にディスクローズ(情報開示)を行うことは当然のことなのです。

2 会社の実情を把握しないままメインバンクは支援を続けられない
もちろん、コロナ禍と同様に、今般の中東危機のような事態では、緊急の危機対応として、金融機関は全面的に融資先を支援することに徹します。
しかしながら、実際に融資の稟議となれば、貸付の稟議を金融機関担当者が起して、本部与信所管部署が決裁権限を有している場合には、部店長が意見を上で、本部与信所管部署(融資部や審査部等)の調査役、審査役、場合によっては部長が決裁することになります。
その際、元々の稟議を起こした担当者が融資先のことを外部要因を含めて詳細に把握をしていないと、稟議書自体が一般論に終始してしまうため、本部の調査役や審査役から「おい、この表現が抽象的でよく意味がわからんぞ」と営業店(支店等)の融資役席にクレームの電話が入ったりします。
そうなれば、稟議手続きが遅滞してしまって、スムースに決裁権限者から稟議承認を頂けなくなります。
下手をすれば、営業店の部店長の意見が付されているにもかかわらず、稟議書が営業店に本部与信所管部署から差し戻されるようなことにもなりかねません。
金融機関は、中小企業とは違い、融資の審査に当たっては、すべからく稟議手続きを経なければならず、稟議の承認権限も、債務者区分、信用格付、融資金額、保全の度合いなどで、厳格に決められています。
金融機関は、個人プレーではなく、組織として機能しているので、客観的に「資金の必要性」を稟議書の中で証明しなければならないのです。
業種、業界によりますが、今般の中東危機の影響は、中小企業の間でも間違いなく徐々にですが、着実に広がっています。
このような時だからこそ、中小企業経営者は、このような金融機関の稟議手続きの仕組みをよく理解して、担当者が稟議書を円滑に起票できるような関係性を構築する必要があるのです。


