【中小建設業の銀行対策】資金繰り表・受注明細が生命線

新型コロナウイルス感染拡大期を通じて、甚大な影響を受けずに済んできたのが建設業です。
ゼネコン、建築屋さん、土木屋さん、大工さん、型枠屋さん、左官屋さん、塗装屋さん、電気工事屋さん、などなどスーパーゼネコンから各種設備屋さんまで建設業は多種多彩で、裾野も広いと言えます。
地方に行っても建設業者は必ず存在し、建設業はもはや、我が国では都市部から地方まで地場産業と言っても過言ではないほどです。

一方で、建設業の場合、他の業種業態と比較すると、会社の規模の割に動くお金が大きいのが現実です。
前受金を受領するケースが多くなりますが、それでも、材料費、外注費は多額に上り、先行して支払が出ていくケースが大半です。
こうなると、大切になるのが、金融機関から立替(つなぎ)資金をタイムリーに調達することが重要です。
立替資金をタイムリーに調達することによって、外注業者さんも気持ちよく現場をこなしてくれたりします。

ここへきて深刻なのが、史上空前の円安を受けた資材高です。
特に、建築業の影響が大きく、建材の多くを輸入に頼っていることで、もはや「ローコスト住宅」は今や昔の世界です。
言うまでもありませんが、資材価格の上昇と人手不足を受けた外注費の増加を盛り込んだ精緻な積算と実行予算管理が利益を出すための必須アイテムです。
資材高の現況から、つなぎ資金の調達はこれまでになく重要性を増しています。
特に、11月から年度末にかけては、公共工事が佳境に入ってきます。

金融機関からつなぎ資金をタイムリーに調達するためにも、積算と実行予算を反映した受注明細と資金繰り表の作成が、資金調達の鍵になります。
もちろん、現場での実務の中では、予期せぬ事態が起こってしまいますが、完工して蓋を開けてみたら、目標工事粗利益を実際の工事粗利益を大きく下回るようなことがあっては断じてなりません。
工事粗利益が目減りしてしまうと、役所から入金があっていざ、つなぎ資金の返済を、という段になって「いや、これは返済できへん。これ返済してしまうと給料が払えない」とか「いや、手形落ちんから堪えてくれ」みたいな悲劇的な話になってしまいかねません。
金融機関側も「はい、分かりました」と言ってくれるはずもなく、手貸の期日にはなんとか工面して返済してもらいます!」と怒りの冷たい言葉が浴びせられます。
それだけではなく、「今後、当行は御社につなぎは出せません」みたいな話になってしまうと、せっかくの受注機会をみすみす逃してしまいます。

日本国債の発行残高が1,000兆円を突破する中で、国、地方とも、公共工事の絶対量は右肩下がりと心得ておいて、来るかもしれない地方・地場ゼネコンの大淘汰時代に備えて、中小建設業は工事毎にしっかりと利益を残していけるような会社に体質に転換していく必要があるのです。

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