【中小企業経営者の心得】リース料の「月額いくら」で丸め込まれてはいけない理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、リース料の「月額いくら」で丸め込まれてはいけない理由について考えてみます。
今日の論点は下記の2点。
1 リース or 減価償却、どっちが得?
2 「月額でしたらこのくらいでいけます」に騙されていはいけない
どうぞご一読下さい。
1 リース or 減価償却、どっちが得?
今時、どこの中小企業でも、コピー機、改め複合機が導入されています。
最近の複合機は、なかなか機能が豊富で、北出もお客様の会社で複合機を少し使わせていただくことがあるのですが、「へー、こんな機能があるんや!」と驚かさせることがあります。
この複合機、なかなかどれも高価なようです。
ほとんどの会社では、リース契約になっていますが、リースでホンマにええのかどうか、考えてみます。
仮に、複合機と会社独自のシステム込みで3,000千円をリース契約とするのか、買取で減価償却していくのか、どっちが得なのか、簡単にシミュレートします。
物件の価格3,000千円で、リース期間4年(48回支払)、リース料率2,269%(国の法定リース料率による)の場合、月額の支払額68千円、総支払額3,267千円と試算されます。
一方、自社買取で減価償却する場合、耐用年数5年間、単年度毎の定率法による減価償却費は1年目1,200千円、2年目720千円、3年目432千円、4年目324千円、5年目323,999円(減価償却後簿価1円)となります。
損金計上額は、リースの場合3,267千円、減価償却費合計額2,999,999円で、リースの方が損金計上額が上回り、節税効果が認められます。
一方、総支払額としては、リース3,267千円に対して、自社買取3,000千円なので、リースの方が、トータルのキャッシュアウトが大きくなります。
こうなると、一長一短ということになりそうですが、キャッシュフローの観点からすると、自社買取の方が合理的です。
また税法上の繰越損失がある会社であれば、節税は意味をなさないので、自社買取が望ましいようにも思えます。
ちなみに、リース料の設定ですが、期間が長ければ長いほどリース料率が低くなるという謂わば「長短逆転現象」となっています。
金利の長短逆転は、金融機関の感覚からすると違和感しかありません。
このように、リース契約はちょっとユニークで、リース契約について多くの経営者がよく知らないままリース契約を締結している可能性が拭えません。
2 「月額でしたらこのくらいでいけます」に騙されていはいけない
北出の経験則でのお話ですが、お客様の会社で、コピー機(複合機)のリースアップのタイミングで、社内システムの更新を事務機屋さんやシステム屋さんから提案されることが多いようです。
以前、お客様の会社で、こんなことがありました。
北出:「社長、売上の日次管理をしたいので、タイムリーに売上を把握できる方法はありませんか?」
X社長:「この前、コピー機と一緒に、社内のシステム新しくしたからそれでわかると思うで」
だったのですが、その操作方法を事務員さんも社長も知らないのです。
挙句の果てには、システム屋さんに電話を入れもらったところ、営業担当者曰く(その機能はついてませんね。オプションになりますが、よろしいですか)と告げられたそうです。
複合機と社内システムを合わせるとちょうど3百万円。
3百万円といえば大金です。
「社長、月額でしたら、こんなもんです」の営業トークに社長が納得してしまっていた上に、社内システムは充分理解されておらず、使いこなせていないという悲惨過ぎるお話でした。
別に事務機屋さんやシステム屋さんが悪いという訳でもないのですが、もう少し説明が丁寧であって欲しいと思えてなりません。
また複合機メーカーが寡占化している弊害なのか、あの手の見積書は、値引き40%とか平気で書かれていて、そもそもの価格設定てどうなってんの?と本気で考えてしまいます。
中小企業経営者の皆さん、今時の複合機は大きな買い物です。
リース契約だから月額なら大した金額ではないという考え方は即刻捨てましょう。
キャッシュアウトの金額を比較しても、リース契約ありきではなく、自己資金での買取や金融機関からの資金調達についても、節税効果も勘案しながら、併せて検討するようにしましょう。