【中小企業の銀行対策】取引金融機関とできない約束を絶対してはいけない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関と、できない約束を絶対にしてはいけない理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 理解できない専門用語をわからないまま放置しない
2 一回ペケがつくと信用されなくなる
1 理解できない専門用語をわからないまま放置しない
どこの業界にも、業界用語や専門用語があります。
その業界にいたらそれらを当たり前のように日常で使いますが、業界外からすると「その専門用語ってどういう意味?」と理解できないケースがままあります。
特に、金融機関では、融資取引の現場において、債権債務に関わる業務が多くを占めるので、業界用語や専門用語が多用されます。
やれ、ショウガシ、やら、トウガシ、やら、キョウカイノホショウショウダク、やら、普通の一般市民が普通に生活する分には理解されない用語ばかりです。
他方で、たとえ、中小企業・小規模事業者であっても、経営者、社長たるもの、おいそれと「それってどういう意味ですか?」と若手の金融機関担当者に尋ねにくじというのもわからないでもありません。
そのため、ついつい、用語の意味がわからないまま。「はい」、「はい」、「わかりました」とサラッと流しまくって、自署をして、実印まで捺してしまっているのは考えてみれば、危険なことです。
もちろん、特に、最近の金融機関では、コンプライアンスを必要以上に徹底されているため、債務者の中小企業、小規模事業者に著しく不当であったり、不利なことを押し付けてくることはありませんが、それでも、用語の意味はしっかりと理解しておく必要があるのは間違いありません。
以前、こんなお話がありました。
弊所とお客様の中小企業とが新たに契約を結ばせて頂いて、資金繰り表や試算表を持参して、社長と一緒に初めて金融機関にお邪魔した際、途中から北出が質問がてら、金融機関担当者と話をしていました。
打ち合わせが終わり、社長とクルマに戻ってから社長から「あの、北出さんと銀行員の最後の方の話、ほとんど意味がわからへんかったんやけど、どういう意味やったか、教えてくれるか」とおっしゃったので、金融機関担当者との話を翻訳するような形で、お話をさせて頂いたら、社長が驚いて、「なるほど、そういうことやったんか。言葉の意味がわからんところが結構あったから」と言ってくれました。
こんな状態で今までどういうふうにコミュニケーションをとってきたのか、大いに心配になりましたが、この方のように、「意味がわからんから教えてくれ」と忌憚なくおっしゃってくれる方はむしろ助かります。
他方、北出と半年も一緒に仕事をさせて頂くと、社長もメキメキ自力をつけてきて、「短プラ連動やなくて、TIBOR連動にしてもらえるよう、会社の財務をより良くしていかなあかんな」と、別人のように、金融機関担当者とごかくにやりあえるようになります。
このように、経営者であっても、わからないことがあれば、わからないまま放置するのではなく、理解できるまで聞き倒すという姿勢が大切です。
2 一回ペケがつくと信用されなくなる
中小企業経営者が、金融機関と信頼関係を築く上で、最も大切で、基本的なことは、金融機関との約束がきっちりと果たされることです。
元々、履行するつもりがない約束を保護にするのは論外ですが、約束の中身が専門用語が多く、経営者側がよく内容を理解できないまま曖昧に、「わかりました」と言った具合に約束をしてしまって、結果的に約束が果たされない言わば「過失」の場合でも、金融機関からすれば、「約束を反故にされた」という風になってしまいます。
一度でも、「この社長は嘘つきや」となってしまうと、ペケが付いてしまいます。
たった一回だけのペケであっても、金融機関とすると、「この社長は信用ならん」と烙印が押されてしまいます。
中小企業経営者は、「あいつが転勤していったら、後の担当の奴と仲良くしておけば良い」となってしまいがちですが、そう金融機関は甘くありません。
金融機関は人事異動がつきものですが、部店長クラスで長くて3年、担当者ベースで長くて5年程度でローテーションしていきますが、「一回のペケ」だけはしっかりと引き継ぎで申し送りされます。
旧担当者から新担当者への引き継ぎでは、良い材料は当たり前なので、格別の引き継ぎ事項とはなりませんが、「この会社、この社長には注意しておく必要がありますよ」というネガティブな要素は確実に引き継がれます。
せっかく、人事異動で新担当者が着任しても、ネガティブな引き継ぎによって、最初からマイナスのスタートとなってしまいます。
このように、たった一回だけのペケが、金融機関では脈々と引き継がれていきます。
中小企業経営者は、わからないことをわからないまま放置せず、銀行取引の重要性を理解すると共に、取引金融機関とはできない約束を安易に交わしては絶対にいけないのです。