【中小企業の銀行対策】リスケからの脱却の鍵は勝ち癖をつけることにある理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、リスケジュール(条件変更)からの脱却の鍵は勝ち癖をつけることにある理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 経営改善の初期段階では何をやってもうまくいかない
2 ちょっとしたグッドラックが勝ち癖を引き寄せて経営改善が加速する
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営改善の初期段階では何をやってもうまくいかない
2009年、民主党政権が発足して間もなく、中小企業金融円滑化法が成立、施行されました。
それからやがて丸14年。
中小企業の経営改善のお手伝いをさせて頂くようになってからほぼ同じ年数が経過しますが、言葉は悪いですが、経営改善が必要な局面を迎えた中小企業にとって、リスケジュール(条件変更、返済の緩和)がかなり市民権を得てきました。
中小企業金融円滑化法は期限切れとなりましたが、金融機関の所轄官庁である金融庁や地方財務局は、変わらず、金融機関に対して、債務者からの条件変更の要請には柔軟に対応するように行政指導しています。
他方、報道等で指摘されている通り、経営改善なき条件変更の更新の繰り返しによって、ゾンビ企業が世の中に温存されていることも否めません。
本来であれば、出血状態にある中小企業について、一旦、元本返済の条件変更によって止血をして、その上で、収益改善を図ることによって捻出できた返済原資で元本返済を再開し、返済額を着実に増額していって、最終的にリファイナンスを目指すというのがあるべき経営改善の姿です。
ゾンビ企業の温存は確かに認めますが、コロナ禍からの脱却もあって、弊所のお客様の中小企業・小規模事業者でも、着実に収益が改善し、元本返済を増額、徐々にではありますが、リファイナンスが数年先に射程圏内に入ってきているケースが現に存在します。
そのような、謂わば成功事例の中にあっても、経営改善に着手した当初は、正直なところ、「何をやってもうまくいかない」ということが散見されます。
元本返済を止める前は、ジャンジャン出血が続いていて本業が傷みまくっていたわけなので、「何をやってもうまくいかない」というのは当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、策定したアクションプランの進捗は遅々として進みません。
経営改善や事業再生は、容易に計画通りに進捗しないというのが現実なのです。
2 ちょっとしたグッドラックが勝ち癖を引き寄せて経営改善が加速する
このように、最初は、なかなか結果が出ない経営改善、事業再生ですが、アクションプランに従って、経営者自身が陣頭指揮で、「これでもか」、「これでもか」と具体策を実行に移していく中で、徐々にコツをつかんできます。
経営改善は、正比例ではなく、2字曲線のカーブです。
具体的には、y=x^2では、x<1であればy<xとなってしまうので、成果が出ません。
しかしながら、y=x^2に於いて、x>1となればy>xとなるので、成果が加速度的に出てきます。
x=>1になる時には、アクションプランを回すことで、徐々に成功体験が重なって行きます。
自社の内部要因である強みを伸ばすだけではなく、外部環境の機会に乗じることにも長けてきます。
具体的には、リスケジュール以降、お客様との信頼関係構築をこれまで以上に重視していた中、突然、競合他社に後継者がおらず自主廃業に追い込まれた結果、受注がドドーンと降ってきたりするケースも実際には存在します。
勝ち癖をつけることによって、周りも自然に応援してくれたりするのは不思議なものですが、真面目に、愚直に仕事をやっていくことで得られる果実であることは間違いなさそうです。
中小企業経営者の皆さん、経営改善はそう簡単に実現できるものではありません。
「これでもか」、「これでもか」とジャンケンを出し続けることによって、徐々に勝率が上がって、勝ち癖を引き寄せることによって、経営改善を加速することができるのです。