【中小企業の銀行対策】銀行員の呟き「与信費用を積んでいる」が要注意である理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、銀行員がふと口走る「与信費用を積んでいますので」が要注意であることについて考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 「引当を積む」という金融機関ならではの考え方
2 市中金利の上昇局面で起こりかねないドサクサ紛れの金利引き上げ要請

1 「引当を積む」という金融機関ならではの考え方

金融機関の会計において、独特な考え方の一つが「貸倒引当金」です。

通常の事業会社であれば、得意先の経営破綻等によって売掛金の一定額が回収不能になると見做して、売掛金の数パーセントを貸倒引当金として計上するケースがありますが、多くの事業会社では、実際に、得意先が経営破綻して貸倒となる可能性が濃厚になったタイミングで、貸倒引当金を積んだり、そもそも貸倒損失として損失計上するのが一般的です。

ところが、金融機関の場合、融資先の自己査定の結果で、通常営業をしていても、債務者区分と担保等の保全状態を加味して、実質信用部分について5%とか、破綻懸念先に分類された場合には、実質信用部分の50%について引当を積むことがあります。
当然、融資先が通常営業していれば、税務署は無税償却を認めないので、金融機関は有税で、つまり、税金を払ってでも、貸倒引当金を積みます。
その点において、金融機関は、一般の事業会社とは違い、独特の引当計上をします。

正常先からその他要注意先に債務者区分が引き下げれた場合、仮に100%信用保証協会の保証がついていても、一般保証であれば金融機関は20%の責任共有部分を負担すします。
例えば、融資残高30百万円に対して、オール保証協会保証付きで全額一般保証で、その他要注意先に債務者区分が落ちてしまって実質信用部分に5%引当を積むとなると、
貸倒引当金への引当額は、30百万円×20%×5%=300千円となります。
金融機関側とすると、300千円の実損が発生したことになります。

金融機関の支店等営業店は、どこも独立採算制なので、小規模な営業店で300千円の損失は見逃せない金額です。

このように、金融機関の「引当を積む」という考え方は、金融機関ならではの独特のものなのです。

2 市中金利の上昇局面で起こりかねないドサクサ紛れの金利引き上げ要請

さて、このように、営業店で損が出てしまうと、現場の銀行員は焦りを感じてしまいます。
先ほどの例で発生した300千円の損失を取り返すために現場の外回りの担当者は、金利を上げて、損失を取り戻そうとします。
焦りを感じている銀行員は、融資先の社長に「金利を少し上げさせて頂きたいのですが」とお願いする時、ふと、「うちも与信費用を積んでいますので」とついつい口走ってしまいます。
「与信費用を積んでいますので」は、債務者区分が滑り落ちたことの何よりの証左です。
「与信費用を積んでいますので」と口走れた中小企業経営者は、正常先から少なくともその他要注意先以下に債務者区分が引き下げられたことを察知しなければなりません。

債務者区分の引き下げの主な要因は黒字から赤字への転落ですが、担保物件の時価が落ちたり、業種柄与信スタンスが厳しくなったことも想定されます。

日銀総裁がゼロ金利解除を視野に入れた発言をする中、世の中、金利の上昇局面を迎えようとしています。

中小企業経営者は、自社の適用金利がどのように決まっているのかを的確に把握して、金利引き上げ要請の要因が、市中金利の上昇以外にあるのか否かについて見極めなければなりません。
中小企業経営者は、ゼロ金利解除間近で、「世の中、金利がついている」ことを再認識して、「支払利息」という名のコストの敏感になる必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】「一行取引」のメリットとデメリットとは?も併せてご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA