【中小企業経営者の心得】セクショナリズムを打破しなければならない理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、セクショナリズムを打破しなければならない理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 中小企業だからこそセクショナリズムが蔓延する
2 思い切って人事異動を断行してみる
どうぞ、ご一読下さい。
1 中小企業だからこそセクショナリズムが蔓延する
北出は、基本、仕事のカウンターパートナーが中小企業経営者で、会社の数字から経営者のファミリーのことに至るまで、何についても、ガッツリとお客様の経営者と握ることになります。
なので、経営者から公私に渡る課題を共有し、解決に向けて邁進していくのですが、中小企業だからこそ目についてしまうのが、「セクショナリズム」の存在です。
一瞬、セクショナリズムと言ってしまうと、大企業の問題かと錯覚してしまいますが、大企業の場合は、定期的に人事異動が発令されるため、組織内の流動性はそれなりに維持されているように北出は感じてしまいます。
逆に中小企業の場合は、人事異動が社内文化として根付いていないため、営業部門なら営業部門、製造部ならずっと製造部、総務部で経理担当ならずっとずっと経理畑という傾向が極めて強いのです。
もちろん、スペシャリストとしてスキルを上げていくために、同じ部門で同じ畑を長く担当していくことに意義はあるのでしょうが、部門毎に文化ができてしまって、下手をすると、同じ会社であるにもかかわらず、部門が違うと別の会社のような印象を受けてしまうこと、しばしばです。
例えるならば、総合建設業の場合、建築部と土木部とでは、まるで積算への考え方に隔たりがあったり、部長さんのキャラクターの違いも相まって、まるで別会社のような雰囲気です。
新入社員は新卒、中途共に採用をしていて、新しい血が入ってくるようにも思えますが、どちらかというと、新入社員が元々の部門文化に染まっていくという方が正しいかもしれません。
そうなってしまうと、経営者が知らない内に、中小企業であるにも関わらず、部門間の連携がうまく機能することなく、部長さんが入社以来、同じ部門をひたすら務め抜いて、同じような業務をこなしながら肩書が上がっていくようなことになると、セクショナリズムが蔓延してしまうことになりかねません。
業種、業態を問わず、セクショナリズムが特に強いように感じられるのが、総務経理といった間接部門です。
特に、中小企業の場合、経理は会社の中でもブラックボックス化し易い傾向が見受けられます。
給振のネットバンキングへの登録も経理のお局さんが担うので、「なんや、あんな人が部長で、こんなに毎月もらってんのか?!」と経理のお局さんの内心は穏やかでなかったりします。
社長の接待交際費にかかる請求書や法人カードの明細を管理し、支払を行う経理のお局さんには、経営者の頭が上がりません。
「なんや、先週、社長、出張や言うてたのに、ゴルフ行ってたんや。このご時世にええ身分やな」
日々の取引銀行の入出金を見ながら経理業務をしていたら、会社が業績が良いのか、芳しくないのか、なんとなくわかってしまいます。
「最近、当座の残高が減ってきた。うちの会社、ホンマに大丈夫やろか・・・」
経理のお局さんから会社の機密が社内外に漏れるリスクは少なくありませんし、弊所のお客様でも実際にそのような事例が認められます。
とはいえ、中小企業経営者としては、経理のお局さんに一目置いて、気を遣わなければならなくなるのはわからないでもありません。
2 思い切って人事異動を断行してみる
中小企業と言っても、組織であり、チームです。
限られた人的資源をどのように配分するのか、経営者としては頭の痛いところです。
また、業務に従事する期間が長ければ長いほど、習熟度が上がり、ミスも減ります。
製造部では、不適合品の発生頻度が低下すると、クレームもなくなり、納期の遵守にもつながります。
一方で、弊害としては、上記の通り、セクショナリズムが蔓延して、部長やお局さんみたいな存在が幅を効かせてしまうと、経営者がコントロールできなくなる可能性さえ起こり得ます。
また、「その人しかできない仕事」が出来上がってしまうと、取引先と癒着をしたり、経理で横領が発生する危険性も危惧されます。
そこで、大きな賭けではありますが、ある程度定期的に人事異動を発令したり、ISOの手法に準じて内部監査を実施することも効果的です。
人事異動によって、従来からの業務フローに漏れや重複が顕在化することで、業務フローの改善につなげることができるかもしれません。
なんと言っても、「コンプライアンス」がこれ程までに声高に言われる中、取引先との癒着や横領などが明るみに出ると、会社の存立に関わる重大な事態に直面します。
「コンプライアンス違反」ともなれば、メイン行以下、取引金融機関の支援は到底望めません。
「コンプライアンス違反」は、資金繰り倒産に直結することを経営者は肝に銘じなければなりません。
中小企業経営者は、「和をもって尊しと為す」ことを大切にしつつ、コンプライアンス遵守を当たり前にできる会社に刷新していくことが必要なのです。