【中小企業経営者の心得】事業承継を受ける者に求められる資質が「人望」である理由とは?

今日は、中小企業承継を受ける者に求められる資質が「人望」である理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 事業承継の3つの形態
2 「人望」は一夜にしてならず

どうぞご一読下さい。

1 事業承継の3つの形態

「高齢化が進行している」。
様々な報道で耳にするフレーズです。

わが国で高齢化が進行しているということは、オーナー経営者の年齢ピラミッドも同様に高齢化を示しています。

平成の初め、バブル景気に沸いていた頃、創業者が一から立ち上げてきた事業も早く約35年が経過しました。
創業当初の創業者の年齢が30歳であったと仮定すると、現在では65歳。
もちろん、65歳の創業経営者は、まだまだ元気で、「まだまだ若い奴には負けぬ」と息盛んです。

とはいえ、激務を続けてきた創業経営者は、そろそろ「あれれ、なんか体が優れんな」と、心の隅っこで「ボチボチ後継者をしっかりと決めないといけないな」とアラートが鳴り出しているところです。

創業経営者にとっては、まるで自らの分身のような会社ですが、いざ、事業承継となると、どのような形態になるのでしょうか?
簡単に事業承継の形態について取り上げます。

創業経営者にとって、最も望ましいと考えている(ことが多い)事業承継が、「親族承継」です。
「親族継承」の中でも、娘婿よりは直系の息子や娘に継がせたいというのが、本音ベースです。
北出の経験則上からも「血は争えない」とはよく言ったもので、幼い頃から決して常に順風満帆ではない事業を営んできた父親の姿を見てきた息子や娘は、比較的スムースに事業を承継するように見受けられます。

二つ目の事業承継が「社内事業承継」です。
いわば、番頭格に継がせるわけですが、北出の経験則上、正直なところ、あまりうまくいなかいケースが多いようです。
番頭さんは実務を回すことには極めて優秀ですが、会社経営となると門外漢です。
創業者から「お前に俺の次をやって欲しい」と打診された番頭さんが、帰宅して奥さんに相談したら、即「あんた、そんなん、絶対やめて。会社の借金とかあるんやったらその保証とか、どうするつもり? 私は絶対反対や」と反対されるのがオチです。

三つ目がM&Aによる株式譲渡ですが、これも一か八かのお見合いそのもので、今日のところはM&Aに関する株式譲渡についてはスペースの都合上、割愛させて頂きます。

2 「人望」は一夜にしてならず

親族間承継にせよ、社内承継にせよ、事業承継を受ける者に求められる資質とはどのようなものでしょうか?

一面で、「帝王学が必要だ」という声も聞こえてきそうです。
確かに、2代目さん向けの「経営塾」のような教育プログラムが世間では存在していて、帝王学の基礎を学ぶ機会はありそうです。
また、MBAのような高度な経営学を学ぶことも重要かもしれません。

しかしながら、ビッグモーターの前副社長ではないけれど、高学歴であったにも関わらず、会社を恐怖政治で支配するような2代目さんがいないとも限りません。
同じ業界の中で、「あの若社長は、ボンボンで大したことない。せっかく、父上が会社を大きくしたのに、あの会社、そう長ないで」と信用不安が出ないとも限りません。

他方、事業を父親から承継した若社長が、社内で最年少であるにも関わらず、番頭格以下古参の従業員から慕われて、親会社の購買部長からも可愛がってもらったことで、会社が順調に成長している町工場も存在します。

中小企業は組織ですが、会社の第一義的な姿は会社に集う従業員を始めとした全てのステークホルダーの集合体とも言えます。
「あの若社長の言うことなら、なんとかしてあげよう」とステークホルダーが発起してくれるような会社にすることが最も大切です。

結局のところ、事業承継を受ける者にとって、最も求められる資質は「人望」に尽きます。
「人望」は一夜にしてならず。

事業承継を受けたり、いずれ事業承継を受けるであろう次世代の経営者候補は、周囲から一目置かれ、手厚い人望を得られるよう、文武両道ではないけれど、日々精進する必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】無借金経営の功罪とは?も併せてご一読下さい

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