【中小企業の銀行対策】当座貸越が極度枠いっぱいで張り付いてはいけない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、当座貸越が極度枠でいっぱいに張り付いてはいけない理由について考えます。
今日の論点は以下の2点
1 当貸は文字通り当座の資金を繋ぐための資金である
2 当貸を赤字補填に使ってはいけない
どうぞ、ご一読下さい。
1 当貸は文字通り当座の資金を繋ぐための資金である
中小企業経営者の中で、当座貸越という用語を聞いたことがない方がいらっしゃるかもしれません。
当座貸越とは、極度額(「限度額」と言い換えることができます)の範囲内で、伝票一枚で借りたり、返済したりすることができる金融機関の融資形態の一つです。
このため、当座貸越は、必要な資金をタイムリーに調達できますし、お客様からの入金がまとまってあれば任意に返済することができます。
例えば、会社の支払日が25日で、お客様からの入金が月末に集中するような場合、25日から月末まで資金が薄くなってしまいます。
この資金を薄い期間を凌ぐため、当座貸越の極度額30百万円をメインバンクに設定してもらっておけば、、ネットバンキングで25日の総合振込の資金10百万円を1営業日前に用意するケースでは、当貸を24日に10百万円実行して同日総合振込の資金に充当して、月末にお客様から予定通り15百万円の入金があれば、翌月の2日か3日に調達した当貸10百万円をサクッと返済する、という具合です。
このように、短期的な繋ぎ資金の性格の強い資金手当てを調達する場合、長期で資金調達をしてしまうと、「借り過ぎ」の状態が発生してしまいます。
当貸の枠をうまく利用することによって、「借り過ぎ」を防止することができます。
このように、当貸は、文字通り当座の資金を繋ぐための資金なのです。
2 当貸を赤字補填に使ってはいけない
そもそも、当座貸越の極度を設定するのは、金融機関にとっては、まずまずの優良先です。
そsれでは、当座貸越の極度を設定されるのがまずまずの優良先であるのはなぜでしょう?
先ほども申し上げましたが、当貸は、任意に借りたり、返済することができます。
他方、赤字になったり、FCF(フリーキャッシュフロー)ガマイナスになってくると、返済はなしで、借りる一方になります。
返済せずに借りる一方では、極度額(限度額)に限りなく近づいていって、最後には、当貸の残高は、極度額に張り付いてしまいます。
これでは、一時的な当座の資金を調達するという当貸の本来の役割を果たせなくなります。
金融機関としては、当貸の残高が極度に張り付いてしまうことを極度に嫌います。
当貸を赤字補填に使ってはいけないのです。
一方で、当貸をうまく利用すると、中小企業にとっては、回収サイトが少々長い商いにも対応できるなど、資金調達の機動性が上がることは間違いありません。
当貸の極度額を設定して欲しい中小企業経営者は、金融機関に月次で資金繰り表を提出して、「当社は当貸の枠を設定して頂いた際には、極度枠に張り付かないよう、月次で資金繰りをしっかりと管理し、御行に資金繰り表を提出させて頂きます」とメインバンク担当者に掛け合ってみる価値は十分あります。
中小企業経営者は、当貸の極度枠を設定されているか否かにかかわらず、月次で資金繰りを管理していく必要があるのです。