【中小企業の銀行対策】「良い赤字」と「悪い赤字」との違いとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、「良い赤字」と「悪い赤字」との違いについて考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 「良い赤字」と「悪い赤字」との違い
2 粉飾するより勇気を持って赤字を出し切る

どうぞ、ご一読下さい。

1 「良い赤字」と「悪い赤字」との違い

新型コロナウイルス感染症が、2類から5類に感染症分類を変更になって、1年が経過しました。
一昨日までのゴールデンウィークは、円安を嫌って日本人のレジャーが国内回帰の指向を強めたことから、関西各地は、どこも大変な人出でした。
世の中がアフターコロナになって、社会が本格的に動くようになったことは好ましいことです。

サービス業を中心に、日本人の国内指向とインバウンドの日本国内での消費によって、弊所のお客様の中小企業もコロナ前のトップライン(売上高)を稼ぎ出しています。
他方、円安による原材料高と、人手不足による人件費高騰が、収益圧迫要因になっています。

このため、トップラインの上昇幅を上回る原価高とコストアップによって、営業損益で赤字に転落してしまうケースも散見されるようになっています。
融資を出している金融機関としては、当たり前ですが、赤字決算よりも黒字決算の方が望ましいですし、直前期で欠損となれば、メインバンク担当者は、「社長、2期連続だけは勘弁して下さいよ」などとプレッシャーをかけてきます。

北出がつくづく感じていることは、そもそも、商いはどれも、リスクテイクによって利益を取りに行っているわけなので、利益の裏側にあるリスクが顕在化して、結果として、赤字に転落することは止むを得ない側面があると考えています。

ただし、一言で、「赤字」と言っても、「良い赤字」と「悪い赤字」が存在すると北出は信じています。
「良い赤字」と「悪い赤字」との違いとはどのようなものでしょうか?

一言で言ってしまえば、「良い赤字」は赤字になった要因が明確になっていて、現進行年度では、赤字に転落した要因を縮小させたり、撲滅するための具体的な方策が取られていることと言えます。
また、例えば、営業損益で黒字を確保していても、不採算事業から撤退したことで、事実上資産性を失っていたり、費用性の資産を営業外費用や特別損失で計上したことで当期純損益で赤字になるケースも、簿価ベースのBSを実態ベースに近づけることができるため、BSを健全化するという目的を達することができるため、「良い赤字」と言えます。

他方、「悪い赤字」は、「なんとなく赤字になってしまった」という具合に、赤字の原因分析ができず、黒字転換するだけではなく、借入金の返済原資を確保できる見込みが立っていないことです。

「赤字決算」になった場合には、赤字になった要因を明確化すると共に、黒字転換し、返済原資を確保するためのアクションプランの策定が急務です。
アクションプランの進捗状況は、試算表と資金繰り表と共に、月次で取引金融機関に報告するのがベターですし、弊所の方針でもあります。

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2 粉飾するより勇気を持って赤字を出し切る

他方、いまだに、粉飾決算が明るみに出て、経営破綻に追い込まれるケースが散見されることは極めて残念なことです。

確かに、赤字決算はなんとか回避したいというのは、経営者としては当たり前の感情なのですが、だからといって、「今期だけで、来期に必ず、粉飾分を取り返す」と誓ってみても、一度粉飾に手を染めてしまったら、粉飾分を来期に取り戻すことはほぼ不可能と言えます。
来期に粉飾分を取り戻せるのであれば、今期、赤字に転落せずに済むはずです。

粉飾は、断じて申し上げますが、「悪い赤字」よりも圧倒的に悪質です。

経営者たるもの、厳しいところではありますが、粉飾なぞに手を染めることなく、勇気を持って、赤字を出し切って、赤字決算という現実を受け止め、来期以降、V字回復できるよう、経営改善を断行するのが、経営者の使命です。
そして、赤字を脱却して、黒字転換するだけではなく、金融機関への年間返済額を賄うに十分足りるキャッシュフローを創出できるよう、中小企業経営者は全力で取り組む必要があるのです。

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