【中小企業の銀行対策】リスケジュール先に対する金融機関の選別が始まる理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、リスケジュール先に対する金融機関の選別が始まる理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 短期金利上昇が融資先の選別の号砲となる
2 リスケジュールからリファイナンスへの道筋を明確化する

どうぞ、ご一読下さい。


1 短期金利上昇が融資先の選別の号砲となる

昨日の日銀の「利上げ宣言」は、金融機関を始めとして、大きなインパクトを与えました。
もちろん、短期金利の引き上げはそう遠くない将来に実現しそうだという下馬評はありましたが、やはり、「いよいよマイナス金利、ゼロ金利よ、さようなら」を実感するようになりました。

短期金利引き上げに備えて、一部の金融機関では、救うべき融資先に対して、経営改善への取り組みを本格的にスタートさせています。
2009年に施行された中小企業金融円滑化法から、融資先のリスケジュールが金融機関営業店では日常風景となりましたが、まれにみる低金利がリスケジュールを助長した面は否めないところです。

ところが、いざ、短期金利上昇が現実味を帯びると、これまでのように、ダラダラとリスケジュールの更新を続けてきた中小企業にとっては、短期金利上昇に伴う支払利息の増加が固定費となり、営業利益を吹き飛ばしてしまう懸念が出てきます。

他方で、リスケジュール下であっても、潜在的なポテンシャルを秘め、次世代に継承していくべき中小企業は着実に存在しています。
特に、地方では、地域経済の担い手である中小企業が事業継続できなくなってしまうと、地域金融機関は本業の融資で稼げなくなります。
地域の中小企業は少なからず、地元の雇用を吸収しています。

地域経済の担い手である中小企業が事業再生を着実に進めないと、地域金融機関も地域経済にも未来がなくなります。

しかしながら、リスケジュールでズルズルと生き延びているゾンビ企業が中には存在しています。

期せずして、短期金利の上昇が金融機関の融資先の選別への号砲となることがほぼ確実な情勢なのです。

2 リスケジュールからリファイナンスへの道筋を明確化する

次に、金融機関から「残すべし」とジャッジされるような条件とはどのようなものでしょうか? 考えてみることにします。

当たり前の話ですが、借りたカネは「返さなければなりません」。
補助金や助成金と違って、ご馳走様、ともらえるものではありません。

一方で、利益を追求した結果、リスクが顕在化し、地雷を踏んでしまうことは商いをしていて珍しいことではありません。
地雷を踏んでしまって、資金繰りが厳しくなって、やむなくリスケジュールに踏み切った中小企業は少なくありません。
しかしながら、3億円の借入金があって、リスケジュールによって月々の返済額が500千円であれば、年間返済額は6,000千円、このままのペースでは、完済まで50年かかることになります。

仮に、今の返済額が月々500千円であっても、毎月金融機関各行にモニタリング(業績報告)をしていて、返済額を着実に増加させていって、リファイナンス(返済期間10年間で借り換えること)を実現していくための目処をつけていくことこそが、金融機関から「残すべし」をジャッジされる条件です。
今は無理でも、5年先にはリファイナンスを実現していくというくらいのポテンシャルがリスケジュール中の経営者に求められます。

リスケジュール中の中小企業経営者の中でも、ご高齢になっていたり、直系の息子が会社を継ぐ意向を示している場合には、リファイナンス実現までの時間的余裕はそう多くはありません。

中小企業経営者は、短期金利上昇を契機にして、借入債務を圧縮していくことを経営課題と認識する必要があるのです。


資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA