【中小企業の銀行対策】経営改善に月次進捗管理が必須である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、経営改善に月次進捗管理が必須である理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 経営改善はマラソンである
2 未達の分を取り返すのは相当しんどい
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営改善はマラソンである
過去の赤字によって、経営改善が必要な局面を迎えている中小企業は少なくありません。
経営改善が必要になった理由は、その会社によって様々ですが、飲食業や旅館業などで、コロナ前は順調な業況推移を辿っていたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染拡大によって、売上が急減し、コロナ資金を調達しまくって借入金が急に増加して、返済原資を失っているケースは一番わかりやすい例です。
また、コロナ前から、業績不振が慢性化して、中小企業金融円滑化法施行の当初の段階からリスケジュールをしていて、かれこれ、15年近くリスケジュール状態が続いているケースもあります。
コロナ禍が落ち着いた今では、円安の影響による原材料高、人手不足と、外部要因のネガティブな脅威が顕在化しており、経営改善の支障になっています。
業績が悪化するのは、あっという間ですが、経営改善を進めていくには経営者の地道な努力が必要です。
一旦業績が悪化した中小企業が経営改善を実現するのは、容易なことではなく、数年から10年単位の期間が必要です。
中小企業の経営改善は短距離走ではなく、マラソンそのものなのです。
2 未達の分を取り返すのは相当しんどい
実際、経営改善を進めていくとなると、実績が計画を下回ることが出てきます。
特に、経営改善の初期段階の場合、計画通り、進捗しないケースが少なくありません。
通常、経営改善は、月次でモニタリング(金融機関への業況報告)を行いますが、実績が計画値から下ブレると、債権者である金融機関担当者の表情も渋くなります。
もちろん、当事者である経営者としては、「なんとか頑張らねば」と粘ろうとしますが、未達が続いてしまうと、緊張の糸が切れてしまって、モニタリングも放棄して、「もう、やってられん」と投げてしまう経営者もなきにしもあらずです。
実際、単月で実績値が計画値に未達となると、その未達分を翌月以降取り戻さなければなりません。
通常、経営改善を進めるためにも、計画自体が楽勝な水準とはいえず、少しストレスをかけるような計画設定となっているケースがほとんどなので、一度つまづくと、後が苦しくなるのです。
しかしながら、「もう、やってられん」と投げてしまったら、債権者の協力が得られなくなり、金融機関の協調体制の維持が難しくなります。
もちろん、経営者保証ガイドラインの世の中ですから、自主廃業型で、華美ではない自宅を残せればいいという経営者もいるかもしれませんが、それでは、なかなか未来を切り拓くことは難しくなります。
中小企業経営者は、ネガティブな外部要因が乱立する世の中ではあるけれど、自らの会社を次世代に残せるよう、経営改善に真摯に向き合い、月次の進捗管理を徹底する必要があるのです。