【中小企業の銀行対策】新年だからこそ資産の部をきれいにすべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、新年だからこそ資産の部をきれいにすべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 費用性や資産性のない資産勘定は控除される
2 腐った資産勘定を一掃する

どうぞ、ご一読下さい。

1 費用性や資産性のない資産勘定は控除される

新年が明けて、多くの中小企業経営者が「今年こそはやってやる!」と会社業績の伸展を神社で祈願したことかと存じます。
確かに、決算月がいつであれ、年が明けるとなれば気分一新で、収益力のより一層のアップや、経営改善を進めていく決心を新たにする良い機会です。

中小企業経営者の心が改まったタイミングで、手っ取り早く取り掛かれることが、試算表上の資産の部の大掃除です。
今のタイミングで、中小企業経営者の手元には、昨年11月度の試算表があるはずです。
多くの中小企業経営者は、試算表がアップデートされると、まずは損益計算書(PL)をいの一番に目にします。
PLに関心が向かうのは当然のことで、2024年11月度1ヶ月でいくら売上が立って、どのくらい利益が出たのか、あるいは赤字だったのかを把握したいと考えるのは当たり前のことです。

ところが、融資を受けている金融機関の担当者の目線はPLは一瞥する程度で、すぐにその関心は貸借対照表(BS)に向かいます。
金融機関担当者がPLよりBSにより高い関心を払う理由は、金融機関が融資先の「安全性」に強い関心を持っているからです。
BS上で、内部留保がしっかりと蓄積されていれば、突発的に赤字が出ても、経営破綻するリスクは低いのです。
しかしながら、内部留保の蓄積が不十分で、BSが脆弱のままだと、会社が常に経営破綻する可能性に晒されます。

また、BSの簿価ベースでの純資産額だけではなく、仮払金、立替金といった費用性が認められる資産勘定や、代表者向けの貸付金等資産性が認められない資産勘定は、実態ベースでは資産の部から控除されてしまって、簿価純資産が毀損してしまうのです。
実態ベースで控除される資産の部の金額が簿価純資産を超えてしまうと、実態ベースでは、実質債務超過と金融機関では見做されてしまいます。

こうなってくると、下手をすると、債務者区分が「破綻懸念先」に滑り落ちかねず、ニューマネーの調達が難しくなるばかりではなく、取引金融機関の取組スタンスが「撤退・回収」となってしまう可能性が高まります。

「うちの会社は債務超過ではないので、今のところ安泰安泰!」と経営者がたかを括っていると、知らないうちに不良債権にされてしまいかねません。
正月早々、取引金融機関からそろっとダメ出しを喰らわない保証はないのです。

【中小企業の銀行対策】新年だからこそ資産の部をきれいにすべき理由とは?

2 腐った資産勘定を一掃する

このように、費用性資産勘定や、資産性のない資産勘定を放置することは、中小企業にとって大きなリスクであることは間違いありませなん。
費用性資産勘定や、資産性のない資産勘定は、いわば、「腐った資産勘定」といえます。
「腐った資産勘定」は一刻も早く一掃しなければなりません。

仮払金や立替金のままで放置された領収書は、もしかすると、社長が経理担当者に持ち込んだ領収書で、経理担当者がどのように経理処理すべきか悩んでいる可能性が拭えません。
接待交際費で費用計上しようとしたところ、会計事務所からダメ出しを喰らって、そのまま仮払金や立替金で計上されたままになっていることも疑われます。

接待交際費に相応しくない領収書は、会社の経費ではなく、ポケットマネーで精算すべきもので、そのおカネは会社に返金する必要があります。
会社と個人は別主体なので、経営者たるもの、公私混同が疑われるようなことがあっては断じてなりません。

費用性の資産勘定をそのまま放置することは許されません。
場合によっては、会計事務所の協力を得ながら、「腐った資産勘定」の一掃を一気に進めなければなりません。

中小企業経営者で、オーナー社長であればこそ、会社と個人をしっかりと分別することが、費用性のある資産勘定や資産性のない資産勘定の発生を防止することに直結します。
公私をきっちりと分けることが、社会の公器としての会社の健全化への第一歩です。
同時に、取引金融機関の評価を上げることにも直結します。
会社の経費は、売上を立てるために必要な経費であることが大原則であることを、中小企業経営者、オーナー社長は改めて肝に銘じる必要があるのです。

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