【中小企業の銀行対策】中小企業にとっての「儲け」の本質とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業にとっての「儲け」の本質について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 「儲け」は現預金の積立ではない
2 次の成長に向けて「儲け」をフル活用する

どうぞ、ご一読下さい。

1 「儲け」は現預金の積立ではない

「試算表上では利益が出ているのに、なかなかおカネが増えない」と悩む中小企業経営者は少なくありません。
利益、即ち儲けは、現金主義の単式簿記なら、「利益」=「現預金増加分」となります。
しかしながら、会社の会計は発生主義であるため、利益は、売掛金や固定資産等、試算表の貸借対照表上の「資産の部」の中の勘定科目に分散するので、「利益」≠「現預金増加分」となってしまうのです。

それはさておき、中小企業経営者が保守的な方であれば、「なるべく現預金を増やしたい」と考えます。
確かに、現預金が潤沢であれば、会社が倒産するリスクは少なくなります。
そもそも、会社が倒産する最大の原因は「おカネが足らなくなる」ことに他なりません。
また、金融機関としても、安全性を最重要視する傾向にあるため、現預金が潤沢な会社を融資先としたいのですが、現預金が潤沢であれば、運転資金も設備資金の自己資金で賄うことが可能になりがちなので、現預金が潤沢な会社は、そもそも借入を行う必要もありません。
一方で、資金繰りの余力が小さな会社ほど、「来月に運転資金をなんとかお願いします」と金融機関に資金要請することが多くなります。
これが、貸金業が「逆選抜」という特殊な市場特性を持っていることの証左なのです。

【中小企業の銀行対策】中小企業にとっての「儲け」の本質とは?

2 次の成長に向けて「儲け」をフル活用する

失われた30年間と言われるデフレ下では、儲け、利益を内部留保として蓄積して、特に、現預金を潤沢にして会社の成長よりも安全性を重視する中小企業経営者が多くいました。
金融機関から融資を受けていれば、経営者保証の問題への懸念もあって、リスクを回避して、現預金を溜め込む傾向が強まりました。

現預金を溜め込む傾向は、中小企業のみならず、上場企業でも見受けられました。
他方、上場企業の場合、必要以上に現預金を保有していると、敵対的買収のターゲットになりやすく、グローバル経済の進展によって、敵対的買収は国境を越え、アクティビストが上場企業に対して、成長への投資を求めるようになってきました。

現預金を潤沢にして、成長を犠牲にして、安全性を重視することは、インフレ転換後の我が国の中小企業でも、もはや時代遅れの産物です。

しっかりと儲け(利益)を出して、次の成長に向けた設備投資に取り組んだり、賃上げの原資を確保していかないと、中小企業でもインフレ下では、勝ち残ることはできません。
しっかりと設備投資を行うことで、生産性と品質を向上させ、賃上げによって、優秀な人材を囲い込み、従業員のモチベーションを上げていくことが、どうしても必要なのです。
金融機関としても、成長を促すことができる設備投資にかかる資金需要に関しては、積極的に取り組むこと、間違いありません。

中小企業経営者は、潤沢に現預金を確保したいという本音をひとまず封印して、次の成長軌道を描けるような前向きな投資に取り組む必要があるのです。


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