【中小企業経営者の心得】経営者が知っておくべきリース取引の実務とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、経営者が知っておくべきリース取引の実務について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 自己資金、銀行借入、リースの中から最適解を得る
2 メーカー系リースだけがリース会社ではない
どうぞ、ご一読下さい。
1 自己資金、銀行借入、リースの中から最適解を得る
何がしかの設備投資を行う際の設備資金の資金調達をどのようにすべきかと迷う経営者は少ないかもしれません。
設備投資を行うといっても、1台数千万円もする工作機械だけではなく、どの業種でも身近な設備投資が、車両や複合機なども含まれます。
設備投資の資金を大きく二つに分けると、買取かリースかのいずれかを選択することになります。
買取の場合、自己資金で取得するのもありですし、取引金融機関から資金調達することも選択肢です。
買取のケースですと、減価償却費を毎期計上して、簿価を下げていくことになります。
一方、リースの場合、リース会社が所有者となって、使用者が中小企業となって、毎月リース料を支払います。
リース料は経費として損金処理することができます。
ここで、押さえておかなければならないことが、リース契約が適用される資産は「持ち運びができるもの」であることです。
例えて言うなら、エアコンの場合、壁にかけるものであれば、いつでも撤去できるため、リース契約の対象となります。
しかしながら、同じエアコンでも、天井に埋め込むタイプの場合には簡単に撤去するわけにはいかないので、リース契約の対象外となってしまいます。
リース契約の対象資産が持ち運び可能である理由は、所有者がリース会社であるため、リース契約の債務者が支払不能となった場合、リース会社がリース資産を引き揚げる必要があるからです。
次に自己資金の場合、資金調達コストはゼロですが、取得当初に設備の資金を一括で支払うため、現預金が一気に毀損してしまいます。
一方、リースと銀行借入の場合、一般的には、リース契約の方が、銀行借入より資金調達コストは高くなる傾向があります。
しかしながら、銀行借入の場合、BSの借方に設備を固定資産として資産計上する一方、BSの貸方に借入金を計上するため、総資産が膨張してしまって、自己資本比率を低下させてしまう懸念があります。
設備の取得に際しては、資金繰りと資金調達コストを踏まえて、自己資金での買取、銀行借入、そしてリースの中からその時の最適解を選択することが必要なのです。

2 メーカー系リースだけがリース会社ではない
では、次に、設備投資をリースで資金調達することを経営者が決断した時に留意すべきことを考えます。
クルマにせよ、事務機器にせよ、工作機械にせよ、メーカー系のディーラーや販社の営業マンが直接の担当となるケースがほとんどです。
メーカーや販社は、自前でリース会社を持っている(子会社や関連会社という意味合い)ので、営業マンは、当たり前にメーカー系のリースを勧めてきます。
確かに、メーカー系のリース契約は、後々のメンテナンスが充実しているケースが多くあります。
一例を言えば、運送会社の場合のトラックの場合、ディーラーの営業マンが納車時だけではなく、定期点検や車検、保険といった付随したサービスを一体としてリース契約で取り扱っていたりするので、運送会社の経営者からすれば、ディーラーに一任できるので、気楽と言えば気楽です。
一方、運送業者で言えば、政府系の商工組合中央金庫(通称「商工中金」)が運送業者向けの低利の制度融資を提供するので、商工中金の制度融資も十分に検討に値します。
また、同じリース会社でも、メインバンク系列のリース会社が意外と使えます。
メインバンクの営業店担当者が銀行系列のリース会社に直接繋げてくれますし、なんといっても、メインバンク系列で、営業店担当者がプッシュしてくれるので、リース料率もメーカー系を凌ぐような低レートを提示してくれたりします。
このように、設備資金の資金調達は、ケースバイケースとはいえ、比較的バリエーションが豊富です。
メーカー系やディーラー系のリース会社一辺倒ではなく、メインバンク担当者に一声かけることで、低レートの制度融資を取り組んでくれたり、系列リース会社への紹介も期待できるため、使い勝手と資金調達コストを勘案しながら、資金調達の最適解を得られるよう、中小企業経営者は心得ておく必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
