【中小企業の銀行対策】会社と個人を厳格に分別しなければならない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、会社と個人を厳格に分別しなければならない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 会社=社長個人という意識が強いことは自然なことである
2 会社と個人が分別できてないと丼勘定と見做される
どうぞ、ご一読下さい。
1 会社=社長個人という意識が強いことは自然なことである
我が国の中小企業は300万社以上と言われ、就業者数の7割が中小企業で働いているとされています。
そんな中小企業のほとんどがオーナー経営です。
社長一族が発行済み株式の大半を所有し、取締役も非常勤を含めて、社長一族で占められている会社がほとんどです。
いわば、株主総会と取締役会の両方を牛耳ることができるわけで、社長からすれば、会社即ち自分自身という意識がなきにしもあらずです。
確かに、社長個人が銀行等金融機関から借入金に個人保証を求められることが未だ少なくないことと、社長自身が創業者であれば「俺が一から会社を立ち上げてここまで会社を大きくしてきた」という意識が強いため、「社長個人」=「会社」となるのはむしろ自然なことかもしれません。
確かに、一から事業を立ち上げて、小規模事業者を経て、中小企業の事業規模に成長させてきた創業者社長の存在は偉大です。
バブル崩壊、長きに渡ったデフレ、そしてコロナ禍と、会社は幾度となく、経営危機を乗り越えてきた歴史があるはずです。
取引金融機関担当者が、創業者のオーナー社長に一目置くのは当然と言えば当然のことなのです。

しかしながら、個人事業でもあるまいし、会社と社長個人は別主体であることは言うまでもありません。
会社と個人が別主体であるにも関わらず、会社と個人との間でしっかりと線引きができていないと、世間では「丼勘定」と言われてしまいます。
会社と個人との間で線引きができておらず、「丼勘定」となっている象徴的な勘定科目が「社長向けの貸付金」です。
社長が、経理担当者に領収書を押し付けておいて、「会計処理、適当にやっといてくれや」とやってしまいがちです。
経理担当者としては、社長と会計事務所との板挟みなってしまい、結果として、会社の経費として損金計上できない領収書相当分は試算表上で「貸付金」に仕訳されてしまいます。
経営者保証ガイドラインが定めているように、財務体質が健全であり、かつ会社と個人が分別できていれば、社長の個人保証を求めるべきではないと金融機関にガイドラインが求めています。
一方、いくらPL上で利益が出ていて、キャッシュも潤沢に生み出すことができていたとしても、会社と社長個人が分別できておらず、社長向け貸付金が計上されたままでは、個人保証を外すことは叶いません。
個人保証が残ったままですと、事業承継にも支障が出かねませんし、貸付金がドーンと計上された会社を継ごうとする奇特な人はそうそういません。
仮に、貸付金が計上されていた場合には、役員報酬を増額するなりして、貸付金の返済原資を確保して、月額返済額を設定して、毎月確実に会社に貸付金を返済して、貸付金残高を減らしていくことが必要です。
このように、「社長のオレが即ち会社そのもの」という類の意識は捨て去って、会社を社会の公器として位置付け、会社と個人を厳格に分別することが、次世代に注っ小企業を残す最適解なのです。

