【中古自動車販売業の銀行対策】<その2>中古車販売業に於いて同業他社との差別化が難しい理由とは?

昨日に続いて、激震が走っている中古車販売業界について掘り下げます。
今日は、中古車販売業の銀行対策<その2>として、中古車販売業に於いて同業他社との差別化が難しい理由について考えてみます。

今日の論点は以下の2点。

1 中古車販売業界は「どんぐりの背比べ」である
2 在庫を最小限度にして含み損リスクを回避する

どうぞご一読下さい。

 

1 中古車販売業界は「どんぐりの背比べ」である

業界大手の騒動が勃発して1ヶ月。
件の業界大手を巡るネットニュース記事は、毎日のように報道されていますが、幸いにも今のところ、同業他社にその影響が目立って顕在化しているわけではありません。

中古車販売業業者の多くが中小、もしくは小規模事業者であることが多いことも、影響が顕在化しにくい理由かもしれません。
他方、中小、小規模事業者が多数を占める中古車販売業界のプレーヤーは、どれも「どんぐりの背比べ」です。
オークションのオンライン化を推進した結果、中古車販売業界を健全化させる効果があった一方で、製造業のように自社製品があるわけではなく、どの中古車販売業者も経営上の独自性をなかなか発揮しにくくなりました。
業界の透明化を推進した結果、独自性を出しにくくなり、差別化が難しくなったと言うのは皮肉でしかありません。

中古車販売業経営者は、差別化が難しく経営体力が脆弱な業界特性があることを再認識した上で、業界大手がもたらすショックを吸収する必要があります。

2 在庫を最小限度にして含み損リスクを回避する

このように、中古車販売業界は、業界ならではの特性が存在します。
そんな中、業界大手が手元流動性確保を最優先することで在庫を投げ売りしたり、ロシアへの経済制裁によってロシア向け中古車が禁輸となってしまえば、たちまち、中古車市場はモノがダブついて、相場が崩れてしまいます。
中古車販売各社が保有している在庫に含み損が発生して、近い将来の収益悪化と資金繰り余力の低下を招きます。

どんぐりの背比べの中小・小規模事業者の中古車販売業者にとっては死活問題です。

このようなネガティブな業界環境を乗り切るためにも、中古車販売業経営者は、面倒くさがることなく、さっさとメインバンクの業界動向と自社の経営状況(試算表と資金繰り表を提出)を説明する時間を取るべきです。
幸いなことに、「中古車販売業」はセーフティネット5号保証の対象業種になっていることもあるため、既往の保証協会保証付の長期資金の折り返しを含めた資金の要請を行う必要が出てくるかもしれません。
併せて、中古車相場が目先弱含むことを見越して、必要以上の在庫の確保を見送り、在庫を最小限度に絞り込んで、現預金確保(手元流動性確保)を最優先する必要があります。

中古車業界経営者は、業界大手の騒動を逆手にとって、これを機に、メインバンクとの接触期間を増やし、信頼関係構築に全力を尽くす必要があるのです。

 

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