【中小企業の銀行対策】業種による金融機関との親和性の良し悪しとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、業種による金融機関との親和性の良し悪しについて考えてみます。
今日の論点は下記の2点。
1 金融機関からすると業種によって取組やすさに差が出てしまう
2 金融機関との親和性の芳しくない業種の中小企業の銀行対策
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関からすると業種によって取組やすさに差が出てしまう
職業に貴賎なし、と言います。
確かに、どのような業種、業態であっても、そこに、会社があり、そこに働く人がいて、そのトップに経営者がいるわけで、そこに貴賎があるというのは北出はナンセンスだと考えています。
しかしながら、金融機関の目線からすると、取り組み易さに差があることも残念ながら歴然たる事実です。
金融機関は、あくまでも不特定多数の預金者から集めた預金を原資に、融資をしてその利鞘を稼ぐことを生業にしている都合上、健全な融資先にしか貸せないというのは理屈として分かります。
では、金融機関にとって、取り組みやすい、もっと言えば、貸しやすい、貸しにくいポイントはどんなところにあるでしょうか?
運転資金を融資するという大義として、支払が先行して売掛金の回収サイトが長いということが挙げられます。
例えば、製造業は、金融機関にとって貸しやすい業種の最たるものです。
なぜならば、原材料を仕入れて、各工程を経て、製品や部品に仕立てていくわけですから、在庫を抱える負担が生じますし、お客様の会社からの回収は2ヶ月後、半金半手ということになれば、経常的な運転資金と商手の割引まで金融機関が与信を供与するのが誰の目から見ても妥当です。
建設業も、工期が8ヶ月間、役所からの元請工事の最終の工事代金の回収が、検査の後1ヶ月後となれば、その間に原材料と外注費の支払が先行するので、最終工事代金を引当として短期資金を融資するのが合理的です。
他方、飲食業や小売業は現金回収分が相当程度あって、支払がむしろあとズレするとなれば、出店時の設備資金は取り組むけれど、運転資金って本当に必要なの?という話になりがちです。
市場やオークションなど、短期で資金を回収し、支払も済ませてしまう業種であれば、運転資金の資金需要も見込まれません。
このように、立替資金が必要な場合に代表されるような業種の場合、金融機関にとっては取組やすい業種と言えます。
2 金融機関との親和性の芳しくない業種の中小企業の銀行対策
そうはいっても、商いを大きくして、会社を成長軌道にのせていくために必要なのが、資金です。
一見すると、金融機関の取組姿勢が積極的ではないような業種においても、経営者であれば、真に必要な資金調達を諦めてはなりません。
それでは、一見すると、金融機関の取組姿勢が積極的ではないような業種において、真に必要な資金調達を実現できるような金融機関との信頼関係をどのように構築すれば良いのでしょうか?
その答えは、まずは、中小企業経営者の側が、金融機関に対して、積極的に接触して、会社のことを知ってもらうことが信頼関係構築への第一歩です。
会社のことを知ってもらうために必要な具体的な行動が、「情報開示(ディスクローズ)」です。
情報開示は、金融機関側からすれば、モニタリングという言葉になりますが、月次で、資金繰り表と試算表を開示して、会社の足元の業況をしっかりと情報開示することに尽きます。
北出の経験則上、一見すると、金融機関の取組姿勢が積極的出ない業種においては、むしろ、経営者の側が金融機関との接触に腰がひけているケースが散見されます。
「うちは同業者とは違って、悪い材料も含めて、積極的に情報開示します」という姿勢こそが、金融機関との信頼関係構築への最寄りの方法です。
金融機関との親和性が芳しくない業種、業態であればこそ、中小企業経営者は、金融機関への情報開示を徹底して、金融機関との信頼関係構築に努める必要があるのです。