【中小企業の銀行対策】現金出納帳の運用を厳格化しなければならない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、現金出納帳の運用を厳格化しなければならない理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 現金商売での現金出納帳はマネジメントの根幹である
2 厳格な現金管理が取引金融機関の信頼を勝ち取れる
どうぞご一読下さい。
1 現金商売での現金出納帳はマネジメントの根幹である
電子マネーとクレジットカードが世の中広く普及し、主たる決済手段にまで市民権を得た現在でも、いまだに、現金信仰が根強く残っています。
電子マネーやクレジットカードの売掛金について、回収期間が概ね半月から1ヶ月程度、取扱手数料の負担もあることから、飲食業や小売業では依然として現金決済を優先している中小企業がなきにしもあらずです。
他方、現金は「色がついていない」ため、特に小規模事業者の場合、会社と個人のおカネが混在して、会社のおカネなのか個人のおカネなのか、クシャクシャになってしまうケースが散見されます。
現金の取扱が厳格になされていないと、使途不明金の類のおカネが出てきてしまいます。
試算表上で、普通預金や当座預金がカツカツなのに、現金が何百万円と計上されていたりします。
「ホンマにこの現金、存在するんですか?」
この様な事態を回避するために、必要な者が現金出納帳による現金の厳格な管理です。
理想的には、毎日、経理担当が現金出納帳記載の本日の現金残高と、手提げ金庫の中のお札と硬貨を算当して、もしも相違があり、どうしても相違の理由が判明しない場合は、現金の現物に現金出納帳を合わせるのが正しい経理事務です。
実際の現物と現金出納帳との差額を「現金過不足」という勘定科目で計上します。
現金は、文字通り、「おカネ」です。
現物です。
これをきっちりと管理をするのは、現金商売であれば当たり前と言えば当たり前です。
このように現金商売では、現金出納帳は、マネジメントの根幹をなすものなのです。
2 厳格な現金管理が取引金融機関の信頼を勝ち取れる
そのような大切な大切な現金ですが、現場ベースでは「忙しい時は大変なんや!」というのが本音です。
現金商売で、例えば、お昼時の飲食店や夕方繁忙時間帯の小売業であれば、どうしても、釣り銭の間違いが発生してしまいます。
残念ながら、お釣りが多すぎて文句を言うお客様はほぼいないでしょうが、少なすぎたら、お客さんは、「お釣り、少ないやんか!」と嵐のようなクレームです。
なので、マイナスの現金過不足が出るのは致し方がありません。
逆に言えば、現金商売であるにもかかわらず、現金過不足が存在しない決算書や試算表は、取引金融機関からすると、「怪しい」のです。
数百円程度の現金過不足が販管費上がっていれば、取引金融機関営業店の融資役席には、「この会社の試算表は信頼できる」と感じられるはずです。
決算書や試算表の信頼度を上げるためにも、現金商売では、常に現金管理を厳格化して、現金出納帳と現物との間にギャップがあれば、その日のうちに、現金過不足を立てる必要があります。
たかが、現金、されど、現金。
厳格な現金管理によって、取引金融機関の信頼を勝ち取ることができるのです。