【中小企業の銀行対策】都合の悪いことほど結論から先に話す必要性とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、都合の悪いことほど結論から先に話す必要性について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 結論を先に主語を明確にする
2 モニタリングはフルオープンを基本にする
どうぞ、ご一読下さい。
1 結論を先に主語を明確にする
人間、どうしても都合の悪いことは後回しにしてしまいがちです。
相手方が「え、ホンマですか?」とたじろぐようなことをわざわざ伝えるのは、勇気がいることです。
他方、問題を先送りすればするほど、傷口が広がるのも確かなことです。
北出は、月次でお客様の中小企業経営者と共に、金融機関にモニタリング(業況報告)に同行しますが、モニタリングで金融機関にご報告する中で、決して良い材料ばかりではありません。
特に、新しくお仕事をさせて頂くようになったお客様の場合、(あれれれれ、こんなのありかよ?)みたいなこともなきにしもあらずですが、このような悪い材料がある場合には、金融機関営業店にお邪魔して、椅子に座ったタイミングで、あえて悪い材料を先出しするようにしています。
金融機関の役職員は、立場上、厳しいことはなかなか言いにくいですし、元々、ほとんどの金融機関役職員は皆、礼儀正しく、紳士然としているので(少なくともそう見える)、あえて悪い材料を先出しするというのは、実は金融機関のほとんどの役職員は面食らうことが多いように感じています。
しかし、コミュニケーションを円滑にして、こちら側の意思を明確に伝える必要がある場合は、曖昧な表現を使ったり、先に延々雑談をして、相手が(今日はこの人たちは何を伝えにきたのだろう?)と不審に思われることは決してポジティブではありません。
(今日はこの人たちは何を伝えにきたのだろう?)の後に、「実はですね」から始まるネガティブな話は相手の気分を損ねること間違いありません。
そもそも、悪い材料を抱えたままでは、人間誰も落ち着くことはできませんし、枕を高くして寝ることもできません。
また、会社としての意向や経営方針を伝える際には、「当社は」という主語を明確にすることも大切です。
大切なことは、中小企業経営者が特に悪い材料を金融機関に伝える際には、結論を先に言ってしまって、その際、主語を明確にすることが大切です。
2 モニタリングはフルオープンを基本にする
中小企業経営者の多くは、「悪い材料は銀行には出せない」と思いがちです。
確かに、一時的に赤字に陥っていたり、財務体質が脆弱になりつつあって、「正常先」であるか微妙な会社であれば、悪い材料は出さないようにするというのはわからないでもありません。
「悪い材料は銀行には出せない」の典型例が、「粉飾決算」です。
「社長、わかっておられると思いますが、2期連続赤字はやめてくださいね」などと銀行員に言われている中、決算整理の際、赤字不可避となれば、「今期だけ」、在庫をちょっといじろう、最終月の販管費の一部の計上を翌期に送ろう、と経営者が考えても不思議ではありません。
しかし、小手先の粉飾決算は、問題の先送りでしかありません。
それよりは、発生ベースでしっかりと費用計上をし、在庫の実棚の結果の通り計上した上で、赤字の要因を明確化し、「今期はV字回復する」という具合に経営改善に取り組む方がずっとずっと合理的です。
今期のモニタリングを通じて、「業況が着実に改善している」ことを試算表や資金繰り表上で結果を出していくことが王道です。
北出がお客様にお願いしている金融機関へのモニタリングには、悪い材料も良い材料もフルオープンにすることを基本にしています。
問題を先送りしたり、隠蔽するのは、中小企業経営者として、絶対にやってはいけないことです。
どこかの球団の通訳じゃないけれど、粉飾の第一歩は小さなものですが、段々粉飾する金額が大きくなっていきます。
悪い材料や、粉飾が金融機関に後々バレる方が間違いなく、会社として取り返しのつかない深傷を負うことになります。
中小企業経営者は、特に、金融機関との打ち合わせでは、基本フルオープンにすること、主語を明確にして結論から先に話をすることを意識的にやっていく必要があるのです。