【中小企業の銀行対策】設備投資にリース契約をうまく活用する方法とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、設備投資のリース契約をうまく活用する方法について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 リース契約にはデメリットもある
2 メインバンクのご意向をうかがってみる
どうぞ、ご一読下さい。
1 リース契約にはデメリットもある
コロナの影響が収束し、世の中が動いてくると、中小企業といえども、経営者としては、事業拡大のため、設備投資に踏み切りたいと考えるようになるのは自然なことです。
原材料高や人手不足を克服するために、生産性を向上させたり、省力化できるような設備投資には、経営者としては前向きです。
他方で、設備投資と言っても、その内容や設備投資効果、そして投資額など、設備投資も千差万別です。
普通に考えると、金融機関から設備資金を調達することがいの一番に経営者の頭の中をよぎります。
ただし、設備を自社で購入して、金融機関から資金調達するとなると、設備購入で固定資産、借入金調達で長期借入金がBS上で計上されます。
総資産が増加、膨張するため、自己資本比率が低下します。
一方、設備購入以降は、減価償却費を計上していくことになります。
BS上の見栄えは確かに一見すると悪くなったように見えてしまいます。
一方、車両や機械のように、リムーバブルな設備の場合、リース契約も検討する余地が出てきます。
リース契約の場合、会社の要望に従ってリース会社が会社に替わって設備を購入するため、対象物件がリムーバブルである必要があります(例:リムーバブル◯→営業用車両、基礎工事を伴わない生産設備など、リムーバブル×→天井埋め込み式のエアコンなど)。
リース契約にすると、月額均等のリース料を費用計上していくので、BSに影響を与えません。
リース契約だと、所有権はリース会社にあるため、メンテナンスの費用はリース会社持ちとなるのが通常です。
とはいえ、リース契約には、デメリットもしっかりと存在します。
リース料率が銀行借入のレートよりも割高であるのが通常です。
リース料には消費税が課税されるので、対象物件自体課税されていることを考えると、「二重課税と違うか?」といつも疑問に思うのですが、はて、いかがなものでしょう。
またリースの中途解約は難しく、対象物件を処分しようとすると、リース会社に対して違約金が発生します。
リース契約にはメリットもデメリットもあるのです。
2 メインバンクのご意向をうかがってみる
上記で申し上げた通り、リース契約にはメリットもデメリットもあります。
中小企業経営者としては、設備資金で借り入れるのか、リース契約にするのか、判断がつかないこともあります。
こういう場合、まずはメインバンクにおうかがいを立てて、ご意向を打診してみることが重要です。
普通に考えると、メインバンクの担当者は、「社長、当行で設備資金をやらせて下さい。設備ですので、期間は10年間をさせて頂きます」と応じてくれるはずです。
他方、メガバンクも、地方銀行も、信用金庫も、系列リース会社を持っていますので、メインバンク担当者の方から、あえて「今回は、リース契約でいかがでしょう?」と提案があるかもしれません。
また、リスケジュール中の会社であれば、ニューマネーは基本出してもらえませんが、リース契約なら「どうぞ、どうぞ!」というケースもなきにしもあらずです。
設備のメーカーや卸も系列リース会社を持っている(自動車ディーラー然り、厨房機器の卸然り)ので、メーカーや卸の系列リースにも打診してみても損はありません。
このように、設備投資にかかる資金調達は、銀行借入一本槍というわけではありません。
メインバンクのご意向を打診して、最もスムーズな形で、資金調達できるよう、中小企業経営者は、いくつかの選択肢を検討することが必要なのです。