【中小企業の銀行対策】増加運転資金をタイムリーに調達すべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、増加運転資金をタイムリに調達すべき理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 中小企業は取引の力関係上弱い立場にある
2 増加運転資金は成長の源である

どうぞ、ご一読下さい。

1 中小企業は取引の力関係上弱い立場にある

中小企業の中で、「うちの会社は、潤沢に資金があるので、運転資金の心配はないよ」なんて会社はあるのもしれませんが、北出の勝手な感覚ではごく少数派に過ぎないと考えています。
資金だけではなく、「ヒト、モノ、カネ、(+情報)」のいずれも潤沢とはいえません。
限られた経営資源をいかに効率よく配分するかが、中小企業経営者の腕の見せ所ともいえます。

また、大企業と比較して、中小企業は、取引の力関係上、相対的に弱い立場にあります。
得意先(お客様)との取引条件はどうしても得意先の条件をのまざるを得ないことがほとんどです。
仕入先についても、「月末締め切りで、翌25日、午前中に着金でお願いします」と言われてしまうと、安定供給を優先せざるを得ず、仕入先の言いなりとなってしまいがちです。

そうなると、回収サイトは長い一方、支払サイトは短くなってしまう傾向が強まります。
(回収サイト)>(支払サイト)となってしまうと、特に、売上高が増加する際、資金繰りがタイトになってしまいます。
そのような状況を放置してしまうと、資金繰り倒産、黒字倒産に追い込まれかねません。
資金繰り倒産、黒字倒産を回避するため、メインバンク等取引金融機関から運転資金の借入金を調達する必要があります。

因みに、運転資金を導き出す計算式として、
「運転資金」=「売掛債権(売掛金、受取手形、建設業の場合完成工事未収入金)」+「棚卸し資産(在庫、建設業の場合未成工事支出金)」ー「支払債務(買掛金、支払手形)」で、運転h資金を計算することができます。
在庫が製品・商品となって、お客様に納品し請求書をお送りして売上計上して、お客様からの入金と受取手形の取立入金され、初めて、おカネになるわけですが、在庫を仕入れて、最終的におカネになるまで、業種、業態によって差はありますが、一定の日数がかかってしまいます。
この入金までのギャップを埋めるのが、運転資金です。
受取手形を金融機関で割引くことも運転資金資金調達の一種です。

また、建設業のような大口受注に対する立替資金に関しては、繋ぎ資金の引当融資で、期間は完工後プラス40日の短期資金となりますし、製造業のように、コンスタントに増収が続くケースでは、返済期間5年、7年といった長期資金を調達すべきです。
資金の性格によって、適切な資金調達を行う必要があります。

中小企業経営者としては、例えば、ビジネスモデル俯瞰図と資金繰り表を用いて、取引や資金の流れをメインバンク等に説明することで、運転資金の調達がより容易になります。

このように、中小企業経営者は、中小企業自体、取引の力関係上弱い立場にあることを認識して、自社のビジネスモデルと資金の流れをメインバンクにより深く理解してもらえるよう、努力を怠ってはならないのです。

2 増加運転資金は成長の源である

このように、タイムリーに増加運転資金をメインバンク等から調達することは、会社の命運に関わるだけではなく、増加運転資金こそが、会社の成長エンジン、成長の源と言ってもいいかもしれません。

保守的な考え方では、「なるべく借金はしたくない」とか、「現状のままでいいから無借金でいくことにする」とか、借入金に対して、ネガティブなイメージがあることは非常に残念なことだと北出は考えています。

円安傾向が収まる気配が見受けられないことから、原材料費の上昇はこれからも続くことが予想されます。
人手不足が慢性化して、最低賃金も上昇傾向で、人件費も高止まることは必至です。
さらに、マイナス金利が解除され、近い将来、短期金利(短プラやTIBOR3ヶ月もの)が上昇することが見込まれます。

そのようなネガティブな外部環境下では、現状のままでは、右肩下がりです。
インフレ下では、成長エンジンをふかしていかないと、会社は頭打ちになってしまいます。

このため、インフレ下では、タイムリーに増加運転資金を調達して、会社を継続的に成長させていかねばなりません。

もちろん、借り過ぎは避けて、過剰債務に陥らないよう、十分な配慮が必要です。

中小企業経営者は、長らく続いていたデフレマインドから転換して、タイムリーに増加運転資金を調達して、会社を成長軌道に乗せていくことが必要なのです。

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