【中小企業の銀行対策】債務者として担保物件をしっかりと管理しなければいけない理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、債務者として担保物件をしっかりと管理しなければならない理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 担保物件は資金調達に欠かせないものである
2 債務者の責任で担保物件を管理する
どうぞ、ご一読下さい。
1 担保物件は資金調達に欠かせないものである
中小企業が金融機関から資金調達する際、金融機関にとって「保全」に主として充当するのが、信用保証協会の保証と不動産担保です。
取引金融機関としては、中小企業向けの融資で真っ先に保全に充当しようとするのが信用保証協会の保証です。
信用保証協会では、一般保証だけではなく、様々な制度融資を整えています。
一般保証の場合、保証協会の保証は80%で、金融機関も責任共有分20%を負担します。
一方、コロナ資金や伴走型資金は言うに及ばず、かつての危機対応の資金などでは、保証協会100%の制度も存在します。
保証協会100%の制度融資は、万が一、融資先がデフォルトになっても、金融機関には損失が発生しないので、金融機関としては100%保証の制度融資はリスクがなく、取り組みやすい有志と言えます。
保証協会の保証と並んで、中小企業向け融資の「保全」に充当されるのが、「不動産担保」です。
中小企業といっても、年小規模が10億円ともなれば、金融機関としては、保証協会の保証枠だけでは資金需要に対応できなくなるので、特に、本社の社屋と底地が社有物件であれば、「担保を頂けないでしょうか?」となるのが自然です。
経営者保証ガイドラインの世の中なので、社長個人名義の不動産を担保に供するのは不合理な点もありますが、むしろ、個人保証を取る代わりに、社有物件の不動産を入担するのはむしろ合理的です。
このように、担保物件は、中小企業にとって資金調達に欠かせないものだと言えるのです。
2 債務者の責任で担保物件を管理する
さて、不動産担保の場合、金融機関が最も重要視するのが「担保価値」です。
「担保価値」がいくらだから、その8掛けで担保価値を見る、だとか、担保価値は重要です。
融資残高が担保価値を上回る分は、「丸裸(担保で保全できない実質信用部分)」が生じます。
実質信用部分について、債務者が「正常先」であれば、金融機関としては問題はありませんが、「その他要注意先」、ましてや「要管理先」以下に債務者区分が滑り落ちてしまうと、実質信用部分に引当を積む必要が出てきます。
担保価値は、実質信用部分の金額を左右するので、金融機関にとってはとても重要な要素なのです。
なので、金融機関としては、万が一にも担保物件が棄損するようなことがあっては担保価値の目減りに直結するので、一大事です。
金融機関によっては、不動産調査を目的とした子会社を持っていて、役職定年後の銀行員の受け皿にもなりますが、不動産調査を目的とした子会社で、定期的に担保物件を外観から調査して、棄損がないかを確認しています。
もちろん、地震大国の我が国ですから、東日本大震災や能登半島自身のような巨大地震が襲ってきて、担保物件が破損するようなことがあると、金融機関としては、想定外の引当を積む必要が出て、金融機関の業績を圧迫することも懸念されます。
このように、担保物件の担保価値は、金融機関にとってはとても重要視しています。
これらを踏まえて、債務者である中小企業は、担保に供している物件を適切に管理し、担保価値が棄損しないよう、十分に管理をし、留意しなければなりません。
中小企業経営者は、今一度、金融機関に担保提供している物件について、個別に改めて確認し、その管理状況について検証してみる必要があるのです。