【中小企業の銀行対策】預金獲得に積極的な金融機関の特徴とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、預金獲得に積極的な金融機関の特徴について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 金融機関が預金獲得に注力する理由
2 メインバンクのディスクロージャー誌をチェックする
どうぞ、ご一読下さい。
1 金融機関が預金獲得に注力する理由
令和6年度も下半期に入り、折り返し点を過ぎました。
国内の金融機関は3月決算なので、10月に入り、下半期に入っています。
下半期に突入したことで、金融機関では、新たな営業方針が決められ、特に、営業店(支店等)の役職員は、新たな営業方針に則って、業務に注力します。
金融機関を巡って令和6年度下半期に予想されることが、更なる市場金利の上昇です。
日本銀行の植田総裁は、現時点では、更なる利上げの必要性は感じていないと表明していますが、現実に上半期の後半、市場金利が上昇し、メガバンクも地方銀行も短期プライムレートを0.150%引き上げました。
北出はお客様の中小企業経営者と様々な金融機関役職員と打ち合わせに臨んでいますが、明らかに、一部の金融機関が預金獲得に力を入れるようになっています。
金融機関が預金を獲得する理由は二つです。
1つ目が、業績が好調(融資が伸びている)であるため、預貸率(=融資残高÷預金残高×100%)が上がって、資金が必要となるケースです。
融資残高が伸びて資金が必要となった場合、金融機関は、金融市場(例えばTIBOR3ヶ月もの)から調達するか、広く一般預金者から預金を獲得するか、です。
2つ目が、不良債権が増加して資産内容が悪化して、資金不足を補うため、金利を高めに設定してでも、預金集めをするケースです。
不良債権が資金が回らなくなって高い金利を積んで預金を集めた典型例が破綻した金融機関です。
イチロー選手がまだオリックスでプレーしていた頃、イチロー選手の打率に合わせて定期預金の金利を設定していたのが破綻した旧兵庫銀行であり、「マンモス」という愛称で破格の金利をつけて預金を集めまくって取り付け騒ぎが起こって破綻したのが大阪の木津信用組合です。
このように、預金獲得に注力する金融機関の特徴は大きく分けてこの2つで、いうまでもありませんが、前者はポジティブですが、後者は著しくネガティブです。
旧兵庫銀行然り、木津信用組合然り、バブル崩壊の影響をまともに食らった挙句に破綻に追い込まれましたが、高い金利につられて、多くの預金者が預金を預けたことはそう大昔の話ではないのです。
2 メインバンクのディスクロージャー誌をチェックする
それでは、金融機関が預金獲得に注力しているポジティブなものか、ネガティブなものかを見極めるためにはどうすれば良いでしょう?
金融機関の経営状況を把握する最も簡単で、手間がかからない方法が、金融機関が発行するディスクロージャー誌です。
金融機関のディスクロージャー誌は、営業店の待合フロアに備えつけてある他、金融機関の公式ホームページにも掲載されているので、簡単にアクセスすることができます。
自己資本比率や不良債権の残高など、金融機関の経営状況を把握することができます。
比較対比するためには、同じような規模で、優良行とされる金融機関と比較すると良いかもしれません。
他方、長らく続いたマイナス金利、ゼロ金利の恩恵を金融機関は受け続けてきたので、ごく一部を除けば、金融機関の信用不安は目立って取り沙汰されてはいません。
かつてのバブル崩壊後の「危ない銀行リスト」のような週刊誌の記事も消滅しました。
また、中小企業経営者は、特に、自社のメインバンクの経営状況がどうなのかを把握しておかねばなりません。
メインバンクの経営状況が思わしくなければ、金融機関は融資残高を圧縮しようと、必要なニューマネーであっても、後ろ向きな対応に終始する可能性もなきにしもあらずです。
下手をすれば、貸し渋りや貸しはがしのようなことが起こらないとも限りません。
非上場の中小企業にとっては、メインバンクは資金調達の命綱です。
メインバンクにはもしかして、口うるさい金融機関であっても、健全行を選択する必要があるのです。