【中小企業の銀行対策】融資は「逆選抜」が作用する

1 商業銀行のビジネスモデルおさらい

日本の商業銀行(普通銀行等)は、一般の預金者からおカネをお預かりして、それを原資として、企業や個人におカネを融資するというのが基本的なビジネスモデルです。
おカネが余っている人や企業から、利息を付けて集めて、おカネが不足している企業や個人に利息を貰っておカネを貸すという仕組みなので、商業銀行は、早い話、「おカネの商社」ということができます。
誤解されがちですが、商業銀行の場合、融資した先から貰う「融資利息」が「売上高」に相当します。
一方、お預かりしている預金者に支払う「預金利息」が、謂わば「売上原価」です。
「融資利息」ー「預金利息」=「売上総利益」となリます。
ここ長らくの間、ゼロ金利、というかマイナス金利が続いているので、売上原価の「預金利息」はほぼ0円に近い状態なので、普通に考えると、不良債権にかかる与信費用を加味しなければ、ゼロ金利、マイナス金利は、商業銀行にとっては、「大儲け」の状態です。
これが今更ながらですが、商業銀行のビジネスモデルおさらいです。

2 融資と保険は、ムズカシイ

確かに、このコロナ禍に於いても、金融機関の合従連衡は進みつつあるものの、「金融不安」は全く感じられません。
平成の半ば頃のように、3月危機とか、9月危機とかも新聞紙上を踊るわけでもなく、週刊誌の「危ない金融機関リスト」的な記事が出回っているわけではありません。
そうした中にあっても、融資、金貸し、というのはもの凄くムズカシイ代物なのです。
融資と保険で見られる特徴として、ついて回るのが「逆選抜」です。
「逆選抜」とは経済学用語で、一般的に聞きなれない言葉かもしれませんが、中小企業経営者には是非知っておいて頂きたい用語です。
通常の「選抜」では、条件を厳しくすればするほど、質の良い人なり、モノなりが残ります。
分かり易い例では、試験の合格点を60点から90点に引き上げると、60点から89点までが振るい落とされてしまって、合格者数も減ってしまいます。
これが一般的な消費財です。
ところが、融資と保険は真逆のことが起こってしまいます。
目先の資金が不足する人や企業は、法定内とはいえ年率14%の高利でもおカネを借りてしまいます。
孫正義さんもソフトバンクグループも、豊田章雄さんもトヨタ自動車も、まちがってもこのような高利のおカネを摘むことは100%あり得ません。

条件が厳しくなると、質の悪いものが残されてしまう、これが逆選抜です。

保険も同様です。
北出は保険はズブの素人ですが、極端な話、ステージ4を宣告されたがん患者であれば、保険料50百万円を払ってでも、1億円の死亡保険に入るインセンティブが発生してしまいます。
健常者であれば、保険料50百万円を払うことはまずあり得ません。
もしかすると、古くて新しい融資詐欺や保険金詐欺がなくならないのも、この逆選抜がもたらす副産物なのかもしれません。
というわけで、融資と保険は、「逆選抜」。ムズカシイ、のです。

中小企業経営者は、金融機関から資金調達する際には、必ず「うちの会社は、逆選抜のエジキになっていないか」に始まって、その資金は本当に必要なものなのか、設備投資であれば過大過ぎはしないか、を自問自答し、自らの会社の持続性を高めていく必要があるのです。

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