【中小企業の銀行対策】金利上昇を機に、金利に敏感になっておく
1 やはり、金利は上がっていきそうだ
日本銀行が長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げました。
黒田総裁は、「利上げではない」と記者会見で表明していますが、国債市場では長期金利が前日比0.15%アップの0.4%で東京が閉まっていることを考えると、市場は事実上の利上げだと認識していることは確実です。
北出は、かねてから、このようなマイナス金利、ゼロ金利が長続きするわけはないと信じていましたが、ようやく来ちゃったなあ、という感覚です。
ここまでは、新聞記事みたいな話なので、ここから、中小企業経営者目線に話題を変えていきます。
2 自社の金利の決まり方を今一度、確認しておく
長期金利の上昇したことで、中小企業にはどのような影響があるでしょうか?
ほとんどの民間金融機関の中小企業向け融資の適用レートは、優良先に対するTIBOR3ヶ月ものなどを基準としたスプレッド型か、短期プライムレートに連動する短プラ型かのどちらかなので、短期金利の上昇はいまのところ可能性は低そうです。
ただし、北出の案件の中で、信用金庫の一部でみずほ銀行の長期プライムレート(長プラ)連動がありました。
「今時、長プラ連動かい!」と一瞬ひるみましたが、そのようなケースがないとも限りませんし、長プラ連動なら、来月以降、適用レートが引き上げられる可能性が出てきます。
そもそも、我が国ではずいぶん長い間に渡って、ゼロ金利、マイナス金利が常態化してしまっていたので、金利の感覚が金融機関役職員でさえ麻痺してしまっているかもしれません。
北出は現在52歳ですが、北出よりも若い世代の金融機関役職員は金利上昇を経験したことがないのではないかと思ってしまうほどです。
北出が社会人になった平成5年頃は、郵便局の10年定額貯金が満期後にはちょうど倍になりました。
諸外国を見ても、コロナ禍から脱している現在、ゼロ金利やマイナス金利の方が異常なので、むしろ健全な方向に向かうのでしょうが、過剰債務の企業にとては、支払利息の増加分で営業利益が吹き飛ぶようなことが起こりかねません。
長期金利が上昇した今日だからこそ、中小企業経営者は、金利にシビアになる必要があります。
そして、今一度、自社の借入金の適用レートがどうなっていくのか、把握する日にしましょう。
支払利息は「コスト」だと認識する必要があるのです。